2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣がんが疑われる患者に対する術前外来ケアプログラムの開発
Project/Area Number |
19K10920
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
松井 利江 天理医療大学, 医療学部, 講師 (30635090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 奈津子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (60512069)
青木 早苗 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (40516168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣がん / 手術療法 / 化学療法 / セクシュアリティ / 外来看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、今年度は卵巣がんが疑われる患者の外来看護プログラム案を作成することを計画していた。しかしながら、プログラム作成の基盤となる卵巣がん女性のセクシュアリティの変容を明確にすることにとどまった。 昨年度よりデータ収集を継続し、最終的に合計18名の卵巣がん女性に面接調査を行った。得られたデータを分析した結果、卵巣がん治療を受けた女性は、「術前に完全には拭い切れない生殖器温存への期待」を持ったまま手術に挑み、そのために術後には「突然生殖器を失った身体との対峙」をして戸惑っていた。そして、健康時の自分自身に戻れるのか否かといった「女性である私の可逆性と不可逆性の問い」を抱えることや、「これまで通りにいかないセックスへの否定的感情」、「パートナーシップの真価の見極め」をしていた。しかしながら、最終的には『女性である私に対する納得』をするように肯定的な変容を遂げることが明らかとなった。また、このプロセスにおいて,不妊治療を経験した女性は生殖器に対する喪失感を経験することや、未婚カップルの女性はパートナーとの別れに至りやすい傾向が示された。 以上の結果を踏まえ、術前には患者の病状に対する認識や期待をアセスメントすることや、診断が不確定であっても予測される治療計画や生じうる心身の変化について患者と話し合うことの必要性が示唆された。また、治療前の妊孕能力や挙児希望のみならず、不妊治療の経験やパートナーとの関係性について把握し、術後の早期介入を計画する必要性が示された。術前からの看護介入によって、患者が自分自身を肯定的に評価できるようになるプロセスを促進しうる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受け、卵巣がん女性からのデータ収集が順調に進まなかったこと、質的研究のデザインの特性上、得られたデータの確証性を十分に保障しながら進める必要があったことから、より調査の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、外来看護プログラム案の作成を行い、婦人科外来で勤務する熟練看護師4~5名を対象にのグループインタビューを実施する。 その後グループインタビュー参加者2名程度にプログラムを実践してもらい、実行可能性、実践における課題について評価を得て、プログラム案の修正を行う。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたことから、グループインタビューの参加者に対する謝礼が発生しなかった。また、研究成果発表ができなかったために、国内外学会発表等ができず、次年度使用額が生じた。また、研究分担者との会議はリモートで行っており、交通費や会場代が不要で会った。
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