2019 Fiscal Year Research-status Report
児童精神科における服薬アドヒアランス評価尺度の精度向上を目的とした質的研究
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19K10948
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永江 誠治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (50452842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 瑛子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (10710436)
花田 裕子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (80274744) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アドヒアランス / 児童精神科 / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「服薬アドヒアランス向上のための集団心理教育プログラム」に参加した外来薬物療法中のADHD児について、プログラム参加中にみられた服薬に対する態度変容およびそれに影響を与えた因子について、その当時の医療的背景や参加中の子どもの言動や行動などの質的データを基に、それぞれにおける特徴的なエピソードを抽出する作業を行っている。現在、「ヨーグルトで薬を飲んだら大成功!」「どうして僕はストラテラじゃなくてコンサータなの?」「自分で先生(主治医)に相談したら薬が減ったよ」「薬って飲み忘れたらダメだったの?」「薬の副作用、もっと早く教えてほしかった」「私も薬を飲んでない時はあんな感じなの?」など、プログラム中に見られた子どもの変化を表しているエピソードがいくつか抽出されている。これらの抽出されたエピソードの一部は、英語に翻訳して児童精神保健のエキスパートであるRobert N.Emde博士に送り、スーパーバイズを受けている。エピソード同士における共通点相違点を考慮しながら質的な分析を行いながら記述を整理し、さらなるエピソードの抽出を並行して行っている。また、インタビュー調査への協力施設として、大学病院、発達医療センター、児童発達支援事業所等の責任者と会い、数施設より調査協力についての内諾を得ることができた。最終的な研究協力への承諾は、調査対象や調査手順、インタビュー内容などの詳細をみて決めてもらうこととなっており、その途中段階においても相談に乗ってもらえることとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プログラム実施中に使用した記述データとプログラム実施中のすべての音声データを改めて視聴して当時の状況を振り返りながらエピソードを抽出しているため膨大な時間を要している。エムディ氏によるスーパーバイズを受けながら研究を進めているが、多忙なために連絡を密に取ることが難しく時間を要している。年度末には、コロナウイルスに関する感染対策・業務調整・オンライン授業準備・学生対応などに追われている。
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Strategy for Future Research Activity |
エピソード同士における共通点相違点を考慮しながら質的に分析することと、さらなるエピソードの抽出を継続して行う。それを論文にまとめて公表する。また、この分析結果を基に半構造的質問紙を作成し、外来で薬物療法を受けている子どもと親 30~40組を対象にインタビュー調査を実施する。
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Causes of Carryover |
Emde氏から直接スーパーバイズを受けるために、コロラドに行くための出張旅費を計上していたが、先方との調整がつかなかったため次年度の世界乳幼児精神保健学会にて会うことを約束し、しばらくはメールでスーパーバイズを受けることとなった。その分の旅費費用を使用して、情報収集のための国内学会への参加、インタビュー調査協力依頼のための施設訪問等を行った。また研究計画に遅れが生じており、インタビュー用に予定していた予算が残ったため、次年度のインタビュー調査の費用に充てる。
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