2019 Fiscal Year Research-status Report
看護師の意識レベル評価における思考プロセスに関する研究
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19K10961
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
本山 仁美 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (90316620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩美 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 助教 (60738243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 意識レベルスケール / GCS評定 / 関連要因 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際的指標である意識レベルスケールのGCS評価における思考プロセスを解明するために、本年度は看護師の意識レベル評価に関する認識や理解度を把握する目的で実態調査をおこなった。 質問紙は属性、意識レベルスケールの使用状況、評定の自信度、講習会参加状況、先行研究で誤判定が多かった意識レベルの6つの事例文に対するGCS評定から構成された。対象者は新人看護師を除く病棟勤務の看護師で、全国200床以上の病院95施設に研究依頼をして、24施設で協力が得られた。その協力病院の看護師1219人に質問紙依頼書を管理者から渡してもらい、郵送法で返却してもらった。その結果、464名(回収率38.06%)の有効回答が得られた。なお用語の定義として、意識レベル評価とは「意識レベルに対する専門的判断や解釈のためにおこなれる情報の収集・分析・集約していくプロセス」とし、評定は「スケールを用いてスコアを決定すること」とする。質問紙で得られるGCSの判断は評定の用語を使用した。 分析の結果、講習会参加、看護師経験、意識レベル使用頻度がGCS評定の自信度や評定に対する迷いの頻度に影響することが示唆された。また、事例文のGCS評定の正答率は先行研究と同様に、最良言語反応と最良運動反応の評定で誤りが多くなった。また、意識レベル評定の頻度、講習会参加、評定に対する迷いの頻度と正答率と関連する傾向があり、現在さらなる分析を行っている。 これらの結果は、今年度以降に計画しているGCS評価における看護師の思考プロセスを明らかにする研究で、インタビュー対象者の選定、事例の意識レベルの設定、GCSの構成要素で特に掘り下げてインタビューするところの明確化、などに活用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力の承諾を得られる病院が少なく、しかも病院における受入れ可能な質問紙数も制限があった。そのため、予定した病院数以上に依頼書を送付するなど、対象者を集めることに時間を要した。これらの理由から調査予定期間において、目標対象者数1000人には届くことができなかったものの、500人弱の対象者を得ることができ、統計学的分析を行うことが可能であったため、実態調査研究は終了とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGCSの判定における看護師の思考プロセスを面接法で調査することを計画している。しかし、本年度はCOVID-19の影響で病院関係の協力が難しくなっている。特にインタビュー対象者は集中治療室や救命救急外来などに勤務する看護師が多くなることから、協力者を得られることはまず無理な状況である。そのため、事例設定の検討やインタビュー調査の方法の再検討、質的データ分析支援ソフトの操作の習得など、本年度は知識や技術の準備期間とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、入力費を予定した金額より安価にできたこと、一部統計ソフトを安価なものを購入したことによる。 今年度の使用計画は、インタビュー調査でのオンライン面接などの導入の可能性の検討・準備などに費用が必要となってくることが考えられるため、それに使用する予定である。
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