2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Herpes zoster by birth in Japanese females and setting of life planning.
Project/Area Number |
19K10966
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Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
田中 恵子 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (30290357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 きみえ 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (10609142)
生駒 妙香 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (30785225)
白木 公康 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (50135745)
石田 美佳子 千里金蘭大学, 看護学部, 助教 (60825694)
藤野 百合 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (70759307)
寺本 久美子 千里金蘭大学, 看護学部, 助手 (80837542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 帯状疱疹 / ウィルス / ワクチン / 女性 / ライフイベント / 出産 / 授乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は大規模帯状疱疹疫学調査「宮崎スタディ」により、年齢・性別の発症デルマトームを解析し、発症部位の特徴ならびに帯状疱疹と女性特有の出産・授乳との関係を明らかにすることである。研究方法は観察研究における宮崎県の帯状疱疹発症者例集積による記述的研究である。 帯状疱疹の文献レビューを行った。医学中央雑誌 Web 版、PubMedを用いて、過去10年間、キーワード帯状疱疹、帯状疱疹患者、看護で文献検索した。分析対象は15件(国内11件、国外4件)。帯状疱疹の増加の一方で、患者や地域社会の人々の帯状疱疹に関する知識不足が明らかになった。 帯状疱疹発症者11,132人のデータ分析を行った。三叉神経領域では50歳代女性で発症率が増加し、男女別で比較すると女性の方が発症数多く、女性が男性の1.5倍の差があった。先行研究では三叉神経には発症率に男女差がなかったため、今回の結果で女性に有意に多いことが明らかとなった。20歳代女性では腰神経、50歳代では三叉神経、頸神経、胸神経、腰神経、仙髄で、男性に比べ女性に有意に多かった。また先行研究同様に胸神経・腰神経は50歳代女性で増加していることがわかった。以上より、有意差をもって女性に多い部位は全身ではなく限られた部位であるため、全身性に作用するホルモンの影響というより、局所の要因によって多いと考えられた。女性の帯状疱疹の発症率が高い部位は、女性特有の妊娠に伴い、出産時の陣痛や分娩の際に関わる領域(L2, S2,3)と授乳に関連する領域(T5,6)であった。そのため、女性特有のライフイベントが関与していると考えられる。男性に比べ、50代の胸神経は約3倍、腰神経は約3倍と女性の方が高かったことから、出産や授乳を行った女性が適切な時期にワクチン接種を行うことで、帯状疱疹を発症・重症化するリスクを減らすことができるのではないかと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
帯状疱疹のデータ整理や解析に時間を要し、投稿準備中である。 「中高年女性の帯状疱疹の認知度に関する調査」のテーマのもとに、地域社会で生活する中高年女性を対象に留め置き法による自記式質問紙調査を企画し、今後の予防方法について検討していく予定であった(2019年12月所属大学倫理委員会で承認)。しかし、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、調査の実施場所である2020年3月開催のS市レディス健康フェスティバル、レディースヘルス教室などの催しが中止となり、実施が延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
帯状疱疹発症者のデータ解析を継続して行う。再発の発症者では初発の発症部位との比較、再発の発症部位と出産・授乳に関連したデルマトームとの関係を検討していく。2019年度に未実施の「中高年女性の帯状疱疹の認知度に関する調査」を実施し、学会発表していく。 以上の実態調査をふまえて、帯状疱疹予防に向けた更年期及びそれ以降の女性の健康支援プログラムを作成する。水痘と同じウイルスによって起きる帯状疱疹は、疲労、放射線や紫外線への暴露、ストレス等による宿主の細胞性免疫の低下も発症の契機となる。出産・授乳に関連した皮膚や神経節は、慢性刺激によりダメージを受けている。したがって、女性の場合、50歳以上となり「水痘帯状ヘルペスウィルス抗体価の低下」が起こると、出産・授乳によりダメージを受けた神経節は、ストレス、免疫機能の低下、老化等が誘因となって、帯状疱疹が発症しやすいため、日常生活指導、早期発見・早期受診、帯状疱疹ワクチンによる予防などを紹介し、女性の健康支援を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
帯状疱疹発症者のデータ整理と解析に時間を要し、国内関連学会や海外関連学会への発表や論文投稿として費用を使用できなかった。 また、2019年3月頃、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、研究者らが参加予定の国内学会がWeb学会に切り替わり、旅費・宿泊費の支出がなく参加費のみの支出となった。 2019年度に計画し未実施だった「中高年女性の帯状疱疹の認知度に関する調査」の実施、雑誌等への論文投稿、帯状疱疹発症者のデータ整理と解析を継続的に行っていきたいと考えている。
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