2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Herpes zoster by birth in Japanese females and setting of life planning.
Project/Area Number |
19K10966
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Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
田中 恵子 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (30290357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 きみえ 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (10609142)
生駒 妙香 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (30785225)
白木 公康 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (50135745)
石田 美佳子 千里金蘭大学, 看護学部, 助教 (60825694)
藤野 百合 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (70759307)
寺本 久美子 千里金蘭大学, 看護学部, 助手 (80837542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 帯状疱疹 / ウィルス / ワクチン / 女性 / ライフイベント / 出産 / 授乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は大規模帯状疱疹疫学調査「宮崎スタディ」により、年齢・性別の発症デルマトームを解析し、発症部位の特徴ならびに帯状疱疹と女性特有の出産・授乳との関係を明らかにすることである。平成26(2014)~令和2(2020)年10月までに、宮崎県皮膚科医会の40施設の皮膚科を受診した帯状疱疹患者14,200人の中の再発患者の分析を行った。再発は755人(5.2%)で、再発は8,395人の女性患者の540人に認められ、5,805人の男性患者の215人に認められたものよりも有意に高かった(P<0.05)。年齢別では60歳代が多く、白木ら(2017)の研究と同様であった。部位別では女性は三叉神経、胸神経、腰神経領域で男性に比べ女性に有意に高かった。初発と再発の間隔は平均期間は平均13.4±10.3年で、男女共に同様の傾向であった。帯状疱疹後神経痛、瘢痕形成等の後遺症を残すとQOLにも影響を及ぼすため、早期受診し早期に治療を行い重症化を防ぐ事や予防教育が必要である。 中高年女性520人に対しインターネットにより帯状疱疹の認知度を調査した。帯状疱疹の認知は9割以上と高かったが、脳炎を起こす、予防のためのワクチン等の知識は2割以下であった。皮膚科以外の診療科を受診が7割を占めた(重複回答)。発症部位は腰部32.7%、胸部24.3%、頭部24.3%と上位を占め、発症数が高い部位は出産時の陣痛や分娩に関わる領域(L2, S2,3)と授乳に関連する領域(T5,6)と一致していた。帯状疱疹の罹患女性の平均出産年齢は30.52±4.05歳で、その17.8年後が発症のピークであり、約20年の潜伏期を経て帯状疱疹を発症したと考える。中高年女性に対し、帯状疱疹に関する正しい情報提供を行い、早期発見・早期受診を促すことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
帯状疱疹の宮崎スタディの分析において、50歳代女性の帯状疱疹と出産・授乳との関連が認められた。白木・外山(2020)は、論文の中で「20~30歳代の出産と授乳が20年間の潜伏期で帯状疱疹を発症する要因」と指摘している。女性の帯状疱疹発症の場合、ライフイベントと関係しており、加齢に伴い免疫力が低下し帯状疱疹が発症しやすくなるが、それを予防する意味でもワクチン接種を行う等、ライフプランの設定の必要性が認められた。 地域社会で生活する発症率の高い中高年女性を対象に、帯状疱疹の認知度に関する自記式質問紙調査を実施した。帯状疱疹に罹患した女性の平均出産年齢30.52±4.05歳であり、平均出産年齢の17.8年後が帯状疱疹発症のピークで、出産に関連した部位(L2,S2,S3)、授乳に関連した部位(T5,T6)が発症部位であった。帯状疱疹の発症と女性のライフイベントとの関係性が示唆された。 このように、2つの調査により、本研究の目的であった、帯状疱疹の発症部位の特徴ならびに帯状疱疹と女性特有の出産・授乳との関係が明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3(2021)年度は、調査結果をふまえて、更年期及びそれ以降の女性の健康支援パンフレットを作成する。助産師は女性や家族に寄り添い、生涯にわたる女性の健康を支える医療専門職である。帯状疱疹の疫学調査や地域で生活する中高年女性への調査結果を基に、パンフレットの内容に日常生活指導(食事・睡眠・休息・運動)、早期発見・早期受診、帯状疱疹ワクチンによる予防等の内容をいれ、健康支援に繋げていく。女性の場合、50歳以上となり「水痘帯状ヘルペスウィルス抗体価の低下」が起こると、出産・授乳によりダメージを受けた神経節は、ストレス、免疫機能の低下、老化等が誘因となって、帯状疱疹が発症しやすいため、帯状疱疹ワクチンの普及によって、高齢者の帯状疱疹が減少していくことが期待される。 地域貢献の一環・学生の実践力の強化を目的に、本学では、「まちの保健室(きんらん保健室ひだまり)」事業を展開している。その活動の中で、地域社会で生活する中高年女性にパンフレットを活用して健康教育を行い、健康支援を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
令和3(2021)年度は、帯状疱疹予防に向けた更年期及びそれ以降の女性への健康支援パンフレットを作成する。大学主催のまちの保健室事業の中で、地域社会で生活する中高年女性にパンフレットを配布し、健康支援を行う予定である。そのため、パンフレットの作成や印刷代、まちの保健室の相談コーナー開催に向けた準備等に費用をあてる予定である。
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Research Products
(9 results)