2022 Fiscal Year Research-status Report
重症心身障害者の成人医療移行時の問題および家族の心理的プロセス
Project/Area Number |
19K11037
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 美智代 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (00269515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 薫 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00305426)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トランジション / 移行期医療 / 重症心身障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次の2つの研究課題を目標としてしている。 【研究課題1】小児医療から成人医療に移行する際に、施設間で生じる問題の構造を明らかにする。さらに、この問題の地域性について首都圏と地方を比較する。【研究課題2】小児医療から成人医療に移行する際の重症心身障害児(者)〔以下、重症児(者)〕の家族の心理的プロセスを明らかにする。 2022年度は、【研究課題2】に対して、成人医療への移行に際して訪問診療を導入した重症児(者)の母親の経験を明らかにするために、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県在住の18歳以上の重症児(者)の母親7名のインタビュー調査を分析した。データ収集は2019年6月~2022年8月の間に対面で実施した。訪問診療導入から調査時点までの期間は、1年以内5名、1~2年1名、10年1名であった。 導入1年以内の研究対象者は、受診のために外出しなくて良い、医師が重症児(者)のこれからの生活や体調不良時の対応について母親の希望を聞こうとしてくれることをポジティブに捉えていた。一方、体調不良で入院が必要になった場合に、医療機関との橋渡しを訪問診療医がしてくれるのかが不安要素であった。導入から1~2年の研究対象者は、緊急時に訪問診療医が対応してくれることを知り、緊張した24時間の生活の中で、安心感があると捉えていた。しかし、導入から1年を経過していても、入院可能な病院の確保は通院を継続して自分で確保せざるを得なかった。導入から10年を経過した研究対象者は、状態悪化時には訪問診療医を中心に、訪問看護師、薬局が連携をとり、可能な限り自宅で対応してくれると捉えていた。 【研究課題1】に対しては、小児医療から成人医療への移行として訪問診療を受け入れている訪問診療所への調査を2023年度に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の内、小児医療から成人医療に移行する際に、施設間で生じる問題の構造を明らかにする【研究課題1】の進捗が遅れている。研究開始当初は、移行期医療は医療機関から医療機関の施設間を想定していたが、【研究課題2】を進める中で、医療機関から医療機関への移行もあるが、医療機関から訪問診療への移行もあることがわかってきたため、計画変更したため、やや遅れている。また、【研究課題2】においては、2020~2021年の間は新型コロナウイルス感染症のために対面での調査が実施できず、またネット環境の課題があり、オンラインでの調査も難しかった。対面での調査を2022年に再開している。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究課題2】を進める中で、首都圏では障害の程度が重度の場合、地方では障害の程度が重度でなくとも訪問診療を導入していることが見えてきた。そのため、【研究課題1】の研究対象として、移行後の医療機関から訪問診療に計画を変更し、移行の構造を明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
【研究課題1】「小児医療から成人医療に移行する際に、施設間で生じる問題の構造を明らかにする」に対して、2023年度に小児診療科から転科として重症心身障害児者を受け入れている訪問診療への調査10件程度を予定している。
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