2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的養護のリービングケアにおける「性の自立」を支援する健康教育プログラムの開発
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19K11061
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
桑名 佳代子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (70154531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 文枝 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (40790556)
桑名 行雄 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (90258848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的養護 / リービングケア / 性の自立 / 健康教育 / 児童養護施設 / 里親 / 要保護児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的養護にある高校生と措置解除後の若者が直面する性の課題を詳細に分析し、社会的養護から離れる若者への準備(リービングケア)として、児童養護施設の職員(児童指導員・保育士・看護職および里親が活用できる「性の自立」支援に向けた健康教育プログラムを作成することを目的とする。 本年度は、2017年に実施した「児童養護施設のリービングケアにおける『健康の自律』支援の全国調査」(603施設)において、「性に関する課題」の自由記述を内容分析した。児童指導員の有効回答290通の中で239名(82.4%)の記述、保育士の有効回答267通の中で206名(77.2%)の記述について、1内容を1項目として含む文章を記録単位とし、意味内容の類似性でサブカテゴリー、カテゴリーとして集約した。この調査結果は、第38回日本思春期学会学術集会において、「児童養護施設のリービングケアにおける児童指導員の『性に関する課題』の認識」、「児童養護施設のリービングケアにおける保育士の『性に関する課題』の認識」と2演題で示説発表した。 児童指導員の全コードは516であった。カテゴリーは、【施設における性教育方法】(102)、【性に関する知識不足】(100)、【性モラルが低い】(81)、【異性との適切な距離】(56)、【養育背景】(53)、【SNS等の情報環境】(48)、【望まない妊娠出産】(34)、【施設退所後の支援困難】(19)、【個別的な支援】(15)、【性感染症罹患】(8)の10で構成され、児童指導員は施設内での性教育方法が課題と認識していた。一方、保育士の全コードは484であり、カテゴリーは児童指導員と同様の10カテゴリーであったが、保育士は性モラルの低さ(106、21.9%)に最も注目し、養育背景のなかでも愛着形成の課題が影響していると捉えていた。これらから、各職種の視点を活かした支援のあり方が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2017年に実施した「児童養護施設のリービングケアにおける『健康の自律』支援の全国調査」において、「性に関する課題」の自由記述を分析し、児童養護施設の課題を明確にすることを計画していた。児童指導員239名、保育士206名の分析は終了し、第38回日本思春期学会学術集会で発表したが、看護師32名の分析が残っている。 また、健康教育プログラムの素案を作成することを計画していた。社会的養護の子どもの性の特徴を踏まえた冊子とはなっていないが、児童養護施設や里親から、高校生を対象としたセクシュアリティの健康教育の冊子を希望する声があり、「思春期におけるsexualityの健康」(全21ページ)を印刷(1000部)した。
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Strategy for Future Research Activity |
児童養護施設に勤務する看護師が記述したリービングケアにおける「性に関する課題」の分析を進め、看護師が認識する課題を明らかにする。 2020年度は、職員を対象としたフォーカス・グループ・インタビューと里親を対象とした半構造化インタビューを実施し、社会に出る前後の性に関する課題とそれに対する対応・戦略と望む支援を明らかにする予定であるが、新型コロナウイルスの拡大により、見通しが立たない状況にある。 まずは、文献検討により、社会的養護の子どもの特徴を洗い出し、アセスメントの視点を整理して研究計画を立案し、研究推進の見通しが立った際に研究倫理審査への申請ができるよう準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度の物品費(消耗品)として、ICレコーダーとカラーレーザープリンターを計上していたが、ICレコーダーはインタビューを実施する来年度に購入する予定である。カラーレーザープリンターは、所属大学の共同プリンターで印刷可能であり購入しなかった。また、分担者の一人(発表者以外)が、仕事上の都合により日本思春期学会への参加ができなかったこと、研究補助の人件費が抑えられたことから、次年度使用額が発生した。 来年度はインタビュー調査等により研究補助の人件費に充てること、書籍代の計上が少ないことから図書費に充てたい。
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Research Products
(2 results)