2022 Fiscal Year Annual Research Report
福岡市におけるすべての医療的ケア児と地域の専門職による災害への備え体制の構築
Project/Area Number |
19K11106
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松本 祐佳里 福岡大学, 医学部, 講師 (80465765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 寿雄 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (10708986)
宮城 由美子 福岡大学, 医学部, 教授 (20353170)
長谷川 珠代 福岡大学, 医学部, 准教授 (30363584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 災害の備え / 避難行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、訪問看護師など小児在宅医療の支援者と、医療的ケア児が被災して生き延びるために備えておくことを協議しリスト化すること、リスト化した内容と先行研究をもとに医療的ケア児が被災した際の備えの状況について明らかにしていくことである。A大学病院に通院する医療的ケア児・者と養護者を対象に、災害への備えと避難行動および課題を明らかにするため、医療的ケア児の養護者に聞き取り調査を行った。本調査には、57人の医療的ケア児・者と養護者から協力が得られた。調査の結果、発災時自宅以外への避難意思について、27人(47%)が避難しないと回答した。避難しない理由として、子どもの医療的ケアが必要なことで集団による避難生活が難しいと判断していること、さらに2020年からの新型コロナウィルス感染症による避難所での集団感染のリスクへの危惧などの回答から、発災時は自宅で凌ぐことを選択していることが推測された。さらに、災害への備えができていない者が43人(75%)であり、そのうちの約半数が災害に現実味がないと回答し、被災を自己に置き換えて考えられていない状況が明らかになった。避難生活についても、48人(84%)が想定できていないと回答し、電源や医療材料の確保など、特別な配慮が必要にも関わらず、被災を自己に置き換えて考えることができていない可能性がある。したがって、医療的ケア児とその養護者がそれぞれの実情に合わせた、被災時の備えや避難行動などの避難計画を策定していく必要性が明らかになった。本来であれば、医療的ケア児の支援者とともに、検討会を実施し、体制づくりを行うはずであったが、2020年からの新型ウィルス感染症拡大によって、計画していた検討会が実施できなかった。今後は、訪問看護・介護者と連携を図り、医療的ケア児の実情に合った個別避難計画を立案できる体制づくりが求められる。
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