2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者福祉施設等における津波被害時の避難計画作成による防災対応システムの構築
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19K11112
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 亜希子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (20422876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯和 勅子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30336713)
服部 由佳 三重大学, 医学系研究科, 助教 (30705405)
桑原 万由子 (平松万由子) 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (50402681)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者施設 / 地域防災システム構築 / 津波被害 / 避難計画作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、津波災害時の避難を想定した施設の防災対策について、行政、地域、要配慮者の災害支援に関する専門家の連携に基づく地域防災システムの構築を行うことである。要配慮者施設に対する津波被害時の避難計画作成については、東日本大震災後、平成23年には、津波防災地域づくりに関する法律により、避難確保計画を作成、市町村に提出することが通達されているが、達成率等は明らかにされていない。風水害より予測が困難であること、少ない施設職員のみで、認知症等の疾患や障害を抱えた入所高齢者の特徴を踏まえた避難計画を立案していくことに困難な問題があることが予測される。 そこで要配慮者の個別性に着目した津波被害時の避難確保計画を作成していくことでの問題点を明らかにし、それを踏まえた上でここの施設の実情に応じた避難確保計画を共に考えていく必要があると考えた。 過去の大規模災害時での要配慮者施設での事例からの文献検討を重ね、避難計画作成にあたりどのようなことが、何が問題となってくるのかを調査することとした。現段階では準備段階にある。実績の具体的な内容について示すことのできる段階にはない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災時に多くの要配慮者施設が被災し、犠牲者が多数出た。その後、要配慮者施設の管理者は、津波防災地域づくりに関する法律第71条第2項に基づき、避難確保計画を作成し避難訓練を行い、その結果を市町村長に報告することが義務付けられている。要配慮者利用施設(医療施設等を除く)に関わる避難確保計画作成の手引き(津波編)も風水害と同様平成29年に通達が出されており、取り組みを促されているが、こちらの進捗状況は明らかになっていないことから、洪水時に比べて作成が進んでいないとも考えられる。ある程度の予測が可能な風水害や土砂災害とは違い、予測が困難な大地震や津波の場合は適切な避難計画作成は困難であると考えられる。将来大規模災害が予測される、南海トラフ巨大地震発生時に津波被害を受けるであろう地域での、要配慮者施設での津波被害時の避難確保計画がどの程度進んでいるか、作成についての問題点や困難点を調査し、三重県南部沿岸部地域で要配慮者個別の問題に着目した避難確保計画を作成するための一助としたいと考えた。文献検討を進め、質問紙作成に向けて取り組んでいる。 水防法による風水害を想定した、要配慮者施設の避難確保計画の作成は、各自治体の取り組みにより、作成が少しずつ進んでいる。津波被害に対しては、数値での評価も不明であ調査を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には所属施設での倫理審査を受けたのち、津波被害時の避難確保計画の作成の通達後の全国的な評価の調査と、トラフ巨大地震発生時に津波被害を受けるであろう地域での、要配慮者施設での津波被害時の避難確保計画に作成についての問題点や困難点を質問紙による調査を行う。問題点を明らかにしたうえで三重県南部沿岸部地域で要配慮者個別の問題に着目した避難確保計画を作成するための方針を決定していく。その後避難確保計画を作成する施設が決定できれば、面接調査をして具体的な問題点を探っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2019年度は要配慮者施設の津波被害時の避難計画作成に関する調査の実施状況等、文献検討等に時間を費やしたことで調査対象地域へ出向くことがなかったこと、COVID-19の感染により、予定していた学会への出張が取りやめになったことより予算の使用額が少なかった。次年度は大規模災害時に津波被害を受ける可能性が高い地域の要配慮者施設に対し調査をしたいと思っており、その諸経費を支出する予定である。
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