2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者福祉施設等における津波被害時の避難計画作成による防災対応システムの構築
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19K11112
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 亜希子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (20422876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯和 勅子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30336713)
服部 由佳 三重大学, 医学系研究科, 助教 (30705405)
平松 万由子 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (50402681)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症対応型共同生活介護 / 津波被害 / 避難計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、津波災害時の避難を想定した施設の防災対策について、行政、地域、要配慮者の災害支援に関する専門家の連携に基づく地域防災システムの構築を行うことである。津波被害が予測される高齢者福祉施設では、津波被害についての避難計画を作成することが義務付けられているが、どの程度作成が進んでいるのかを把握した報告が見当たらないため、作成にあたりどのようなことが課題になっているのかは明らかにされていない。特に避難計画の作成に課題があると考えられる、認知症対応型共同生活介護に焦点を当てて研究を進めることとした。 また新型コロナウイルス感染症の流行、感染予防対策が最優先されて、スタッフ人員の少ない中避難計画の作成などにエネルギーを割けない状況であることも考慮しなければならない。 2021年度では、津波被害が予測される地域に立地する認知症対応型共同生活介護事業所の責任者が、避難計画の作成が義務付けられていることを知っているのか、また避難計画の作成はどの程度進んでいるのかを明らかにするために無記名の質問紙調査を行った。 この結果から、検討課題を焦点化する。特に、自由記載による回答から個別の事情と考えられる課題も明らかにしたい。そこからさらに、大学や自治体、施設が議論しながら一施設における避難計画作成を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
津波被害が予測される地域に立地する認知症対応型共同生活介護事業所の責任者に対し、実態を把握するための津波被害時の避難計画の作成についての無記名の質問紙調査を行った。Web回答または紙面による郵送回答のどちらかを選択してもらい回答を得た。 新型コロナウイルス感染症への対応で苦慮していると考えられる現場の状況を鑑み、感染状況が落ち着くまで時期をずらして実施したため、当初よりも調査は遅れた。 質問項目は、津波被害への認識、ガイドラインに基づく避難計画作成状況と未作成の場合はその理由等である。数量による回答の分析を進めている途中である。 調査対象は265名で、うち欠損値を除外した77名を分析とした(有効回答率29.1%)。自由記載による回答の分析は質的帰納的分析を行っている。結果の一部として、津波被害の認識は88.3%が危険と認識。上記ガイドラインを把握していない管理者は34%であった。また把握している管理者のうち、これに基づいて避難計画を提出できていない管理者は28.0%であった。津波被害を想定した一次避難場所や避難経路、認知症の特性を踏まえた具体的な避難計画を作成している管理者がそれぞれ80%以上であった。 対象GHの殆どは認知症入所者の特性を考慮して津波被害時の避難計画を立案している。しかしガイドラインそのものを把握できていない管理者がいることから、ガイドラインが普及していない要因や、具体的な避難計画を作成するための個別の課題について更に調査が必要であり、2022年度に面接調査を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回調査研究で明らかになった結果や、自由記載による質的分析の結果を踏まえて、面接調査を行い個別の施設の事情に応じた課題を抽出したいと考えている。 今回の調査は無記名を前提に行っているが、あえて住所や施設名を明示してくれた施設が複数あり、その施設に具体的に面接調査を実施できないか検討している。個別にはどのような課題があるのかを把握したい。個人情報の保護に十分配慮しながら、可能ならばオンライン面接を実施したいと考えている。新型コロナウイルス感染症の感染状況を見ながら、施設に負担のないような時期を考慮する。 また避難計画の作成を行うことができそうな施設を県内で探したい。県内の認知症対応型共同生活介護事業所には、質問紙調査を依頼するときに一緒に意向を把握するための葉書も送ったが、手を挙げる施設はなかったため、再度個別に依頼をかけていきたいと考えている。 その上で施設、地域、行政と大学の専門家が連携した津波被害時の避難計画を作成したい。
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Causes of Carryover |
2021年度に行った質問紙調査は、当初の計画では2020年度には行う計画でいた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、質問紙調査で施設の責任者に負荷をかけることを避けたいと考えて、感染状況が落ち着く時期まで見合わせていた。そのため計画より執行予算は少なくなってしまった。 このあと面接調査の意向のある施設での調査にかかる費用(録音機材代、対面ならば旅費を含む、逐語録作成費用)や研究成果発表のための費用、データ整理のためのパソコンを購入するなどを計画している。
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