2019 Fiscal Year Research-status Report
野宿生活者が路上にとどまる理由-野宿生活の長期化に影響を与える野宿生活者の経験-
Project/Area Number |
19K11126
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (40351150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (10351149)
井上 清美 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20511934)
島田 友子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80196485)
小塩 泰代 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60300224)
橋本 亜弓 (根子亜弓) 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (70583392)
溝口 広紀 名桜大学, 健康科学部, 助手 (90823873)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 野宿生活者 / 野宿生活の経験 / 野宿生活者の語り / 野宿生活の継続 / 野宿生活の長期化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)野宿生活者の健康に関する文献検討:野宿生活者の健康実態に関する文献検討を行った。特に,野宿生活者がどのような背景で死に至るのか,そのいきさつと要因について事例をもとに考察をした。結果は論文にまとめた。 2)野宿生活者へのインタビュー調査:約15年間,野宿生活を行っている男性(60歳代)に,野宿生活になった経緯や野宿生活での経験など聞き取り調査を行った。この男性は,勤務していた会社の事業縮小により退職し,その後一時的に派遣労働に就くが仕事の激減のため野宿生活になった。自ら死を選ぶことも考えたが,炊き出しや支援者の支えで生きていくことができるとわかり,路上で寝るしかないという「覚悟」で野宿生活をしていた。男性は,炊き出しのおかげで生き延びることができたと感じ、何かお返しがしたいという気持ちから,当事者の立場から野宿生活者を支援するボランティアを始め,生きがいとなっていた。また男性は母子家庭で育ち、幼少期から生活保護受給していた経験から生活保護はみじめだと感じ、年金受給まで野宿生活を続けていこうと考えていた。男性が長期的に野宿生活をしている理由には,野宿生活の中で生きがいを見つけたことと,生活保護受給はしたくないと思う過去の経験が考えられた。 3)炊き出し等での健康相談活動と参加観察:年間を通して,野宿生活者が集まる炊き出し等(名古屋,大阪,沖縄)で,健康相談活動を行った。そこで出会う野宿生活者の言動や様子などを参加観察し,野宿生活が長期化する要因を探索した。年金受給の年齢まで待つ人や,年金受給額が少なく家賃を節約したいために野宿をしている人もいた。 4)研究会の実施:それぞれの地域の状況の報告と,ディスカッションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染拡大に伴う自粛生活のため,インタビューや健康相談活動が一時的に休止となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)インタビューの実施 5年以上野宿生活を送っている人への聞き取り調査を継続して行う。 2)健康支援活動の実施 従来通り,野宿生活者が集まる炊き出し等(名古屋,大阪,沖縄)で健康相談活動を継続し,参加観察をする。 3)研究会の実施 インタビューや参加観察で得られたデータを整理し,野宿生活が長期化する要因について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大に伴う自粛生活のため,インタビュー調査がやや遅れていることと,研究会に参加することができない研究分担者および研究連携者がいたために生じた。 1)インタビューにかかる謝金および交通費,分析等に必要な文献や消耗品等,2)学会発表にかかる学会参加費と交通費,3)研究会にかかる会場費と交通費,に使用する予定である。
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