2023 Fiscal Year Annual Research Report
野宿生活者が路上にとどまる理由-野宿生活の長期化に影響を与える野宿生活者の経験-
Project/Area Number |
19K11126
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (40351150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (10351149)
井上 清美 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20511934)
島田 友子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80196485) [Withdrawn]
小塩 泰代 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60300224)
橋本 亜弓 (根子亜弓) 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (70583392)
溝口 広紀 名桜大学, 健康科学部, 助手 (90823873)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 野宿生活者 / 野宿生活の経験 / 野宿生活者の語り / 野宿生活の継続 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)C氏(50歳代男性)へのインタビューを行い、野宿生活が長期化される理由について分析した。C氏は、先祖代々続く染織の家業を営む家庭に生まれ育ったが,跡継を期待されことを重荷に感じ,20歳代で家を出た。40歳才頃に父親の死をきっかけに自宅に戻るが、従弟が家業は継いでおりC氏の居場所はなかった。「金が尽きるまで放浪」しようという気持ちで自宅を去り,だんだん野宿生活となった。C氏にとって、家のある生活とない生活の違いは,「拠点を持つか持たないか」である。家という拠点を守るためには、ローンや光熱費などを支払う必要があり、C氏はこれを「拘束感」があると語っていた。C氏は、「拘束感」を回避するために野宿生活を継続しており,この「拘束感」は跡継ぎを期待された幼少期の経験に影響されていると考えられた。 2)野宿生活者への襲撃について,怪我を負った人や幸い怪我を負わなかった人の事例について分析した。朝日新聞データス「聞蔵Ⅱビジュアル」にて収集した23件の記事を分析し概要把握を行った。死亡した事例と比較して,目撃した他の野宿生活者が暴力をふるっている少年らを追いかけるなどして「抵抗」したり,支援者が「かけつけ」たりするなど,暴行を受けている人の命を守ろうとする人の存在があることに特徴があった。野宿生活者一人では暴力をふるう人には対抗できないが、幾人かの同じ境遇の人や、必ず助けてくれるはずであろう支援者とつながり合うことで生命を守ることができると考えられた。 3)釜ヶ崎炊き出しの会が発行している「絆通信」に記載されている,18名の釜ヶ崎労働者の生活史を分析した。ほとんどの場合,体調が悪くなったり不景気で仕事がなくったために地方から出てきて釜ヶ崎労働者になっていた。結婚歴のある人では,離婚や死別によって釜ヶ崎に来たときは単身であった。高齢者の方が生活保護を受給しているという傾向があった。
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