2020 Fiscal Year Research-status Report
シングル介護を担う就労者の援助要請とQOLとの関連
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19K11156
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Research Institution | Shubun University |
Principal Investigator |
田中 結花子 修文大学, 看護学部, 准教授 (50410915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シングル介護者 / 健康関連QOL / 在宅介護 / 負担感 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンケート調査結果は、目的:就労しながら親の介護をするシングル介護者の健康関連QOLを退院後1か月時と3か月時で比較し,健康関連QOLの変化を考察した. 方法:在宅介護開始1か月時と3か月時の2時点において自記式質問紙調査を行った.対象者の基本属性と労働時間と介護時間,被介護者の介護度及び認知度などを調査した.健康関連QOLの測定にはSF-8TM)を使用し退院後1か月時および退院後3か月時の比較をした. 結果:健康関連QOLにおけるサマリースコアは,特に精神的サマリースコア(1か月時: 41.9±8.9, 3か月時: 42.9±8.1)は有意に低くかった(p<0.001).サマリースコアを1か月時から3か月時で比較すると、身体的サマリースコア(47.5±9.6→45.9±9.4)は低下し,精神的サマリースコア(41.9±8.9→42.9±8.1)は上昇したものの有意な差はなかった. 結論:在宅移行期のシングル介護者は身体面より精神面の健康関連QOLが統計的な有意差を確認することは出来なかったが低下傾向であった.このことは,シングル介護者のみではなく在宅介護を行う介護者に共通な問題であることが先行研究からもわかった. インタビュー調査では、病院退院直後から3か月以上に及ぶ親の在宅介護と就労の両立は,シングル介護者の介護負担感を増大させていることが分かった.その為,介護者の身近で相談出来る人の存在が介護と就労の両立意欲に影響していた.シングル介護者の親の介護と就労の両立が可能になるように医療機関・職場・社会の配慮はなされていない現状がわかった。その為、介護者の身近で相談出来る人の存在が介護と就労の両立意欲に影響していることが示された。シングル介護者が親の介護と就労の両立が可能になるように医療機関・職場・社会ができる取り組みのシステム構築が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査とインタビュー調査の結果から調査において親を就労しながら在宅介護しているシングル介護者は、親の健康状態に対する不安やシングル介護者自身の将来の生活に対する不安などから介護に対する負担感やストレスが増大し、それらが原因で在宅継続が困難となることがわかった。そのような自分の介護ニーズを積極的に表明することが困難であるシングル介護者においては、医療者からの援助は不可欠である。しかし、シングル介護者は、退院時に医療スタッフとの連携も少ないまま、退院していることがわかった。 そこで、多職種がそれぞれの専門性を発揮し、身体機能の改善に加え、精神的・社会的側面の課題を解決するためには効果的な連携の探求が求められることが必要である。 現場の看護師も患者や家族の希望に沿った支援を実現するために日々、悩んでいる現状があることもわかった。 そこで、その対策として回リハ病棟における多職種連携における退院支援のニーズ調査を実施し、多職種連携の退院支援に関する支援体制を構築することは、シングル介護者の就労と介護の両立を促進することや多くの在宅移行する患者や家族のQOLを高めることにつながり在宅介護継続につながると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究においてもリハ病棟における看護師と多職種との連携の現状について、コミュニケーションの取りにくさや専門性の違い等による職種間の情報共有の相違、情報共有の不十分さといった問題が報告されている。また、多職種間との葛藤や軋轢、対立が生じることや多くの療法士と連携する場で看護師としての役割を消極的に捉えてしまったりする傾向があることがわかった。文献検討からも回リハ病院のような複合的な課題をもつチームにおける現状を明らかにした報告は数少ない現状もわかった。 そこで、対策として回リハ病院における多職種連携における退院支援のニーズ調査を実施し、多職種連携の退院支援に関する支援体制を構築する必要性があると考えた。 多職種連携における退院支援のニーズ調査における基礎資料を得ることを目的として半構造的インタビューを実施し、データを分析した。インタビュー調査の対象者は、リハビリテーションスタッフとする。リハビリテーションスタッフが退院支援に看護師に求めるものを明らかにする。インタビュー内容や文献検索からリハ病院における看護師の退院支援について概念分析を現在行っている。インタビュー調査の内容分析を行い、リハ病院の看護師がリハスタッフが望む患者の在宅への退院指導が出来ていない現状が明らかになった。また、リハ病院に就職してきる看護師が急性期病院からの転職者が多く、患者の在宅生活に目がいかない、知識がない等も明らかになった。また、リハ病院における看護師のクリニカルラダー教育が開始されたばかりであることもわかった。その為、リハ病院における看護師の現状質問紙を作成してリハ病院の看護師の退院支援に関する現状を明らかにする。その結果をもとに次年度の科学研究費取得のテーマとして継続した研究に繋げていく。
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Causes of Carryover |
初年度74970円の残金があったが、昨年は、コロナでアンケート調査ができなかった。本年は最終年でアンケート調査が可能となったので本年申請の10万とともに申請する。
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