2022 Fiscal Year Research-status Report
認知症初期の人の介護者支援の介入研究-integrated careの視点から
Project/Area Number |
19K11185
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
馬場 みちえ 福岡大学, 医学部, 准教授 (60320248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 八千代 安田女子大学, 看護学部, 教授 (10295149)
有馬 久富 福岡大学, 医学部, 教授 (20437784)
大城 知子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50461538)
牧 香里 福岡大学, 医学部, 講師 (70280261)
大倉 美鶴 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 教授 (70364172)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / パーソンセンタードケア / 家族支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、代表者が作成した「介護者支援のためのガイドライン」を用い、Integrated careの視点をもった認知症初期の家族介護者支援プログラムで介入し、コホートで効果検証することを目的としている。 新型コロナ感染症によって介入研究ができなかったが、令和4年12月~令和5年3月まで月1回認知症の人の家族支援プログラムを開始した。対象は、認知症初期(要介護2まで)の人の家族介護者を募集し、50代2名、60代2名、70代1名、80代1名の6名が参加した。今回はこれまで作成していた冊子の「介護者支援のためのガイドライン」を「認知症ーよりそう家族の知恵と工夫」(学術研究出版、令和4年5月発刊)をテキストとして家族支援プログラムを開催した。家族支援プログラムの参加者から「自分ばかりではないことがわかった」と孤独が少しやわらいだとの声も聞かれた。「テキストがあることでこれからのことがイメージでき、認知症の理解できた」と評価された。 さらに代表者は、令和4年12月から2月まで、現在働いている病棟看護師、訪問看護師、ケアマネジャーを対象に認知症高齢者に対するパーソンセンタードケアの理解と実践に向けた研修会を開催した。対象は、病棟看護師20人、訪問看護師39人、ケアマネジャー40人であり、それぞれオンライン研修であったが、「今回の研修が自身の日頃の姿勢を点検しメンテナンスが常に必要と思った」「認知症患者の安全安心な療養や人を尊重するという態度を見直すきっかけとなった」など評価を得ることができた。テキストとして「認知症ーよりそう家族の知恵と工夫」も配布し、看護師から「家族がこれほど工夫しているとは知らなかった」などの声が聞かれた。今後認知症の人や家族介護者を取り巻く病院看護師、訪問看護師、ケアマネジャーなど、他の保健医療福祉職やそして地域の住民にも向けて発信していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年からコロナ禍が続いているが、少しずつ集合体で家族支援プログラムができるようになり、直接話を聴くことができるようになった。また著書「認知症ーよりそう家族の知恵と工夫」を600冊発刊し、家族支援プログラムや看護師・ケアマネジャー研修時にテキストとして活用し、高評価を得ることができた。今回家族支援プログラムやテキストからみえてきたこととして、「パーソンセンタードケア」や「パーソンセンタードアプローチ」があり、認知症の人の立場に基づいて、認知症によるさまざまな障害を担いながらもいかに生きていくかに着目することが重要であることがわかった。パーソンセンターという言葉が、「患者中心のケア」や「個別ケア」というだけでなく、その人を取り巻く人々や社会とかかわりを持ち、尊重されていると本人が実感できるようなケアを行っていくこと、すなわち倫理的側面をもつことが人々の生活の質を高め、多くの人に共感を得られることにつながる。そのことをさらに深めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、認知症の人と家族の会より「家族支援プログラム」に協力を得て行うことができている。今後もできる限り認知症初期の人の家族介護者へのQOL向上をめざした「家族支援プログラム」を開催したい。その「家族支援プログラム」を開催することによって得られた「パーソンセンタードケア」ということとともに、それに向けたアプローチ法を看護師、ケアママネジャー、保健医療福祉職など支援者にわかりやすく発信していきたい。 コロナ禍によって病院内に入ることができない3年間であった。コロナ禍前に非介入群を想定した介入研究は1回しかできていないが、その介入研究を論文化し発表したい。そのことからわかってきたことを発信していきたい。さらに今年度これまで参加いただいた事例を通して認知症の人の段階に応じた支援方法を明らかにしていきたい。 本研究の成果を学会発表や論文発表で発信していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、活動そのものに制限があり、十分な活動ができなかった。また参加したい学会等もオンラインになり、旅費等必要がなかったため次年度使用が生じた。 今年度も可能な限り認知症の人の家族支援プログラムを継続し、より多くの経験を蓄積していきたい。今年度の使用計画は、外国雑誌への投稿と英語翻訳チェックとともに、香港で開催される第26回East Asian Forum of Nursing Scholarsにて学会発表する予定である。
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Research Products
(4 results)