2020 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院における認知症者の地域生活継続を支援する看護連携ガイドライン開発と検証
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19K11195
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
脇崎 裕子 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (90389487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 成美 佐賀大学, 医学部, 教授 (70289601)
重松 由佳子 (有馬由佳子) 久留米大学, 医学部, 教授 (90320390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症者 / 看護連携 / 急性期病院 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究目的は、急性期病院に入院する認知症者の身体合併症への適切な対応を目指すための課題抽出および地域生活継続に向けた看護連携上の課題および実態の明確化である。研究対象者は、2施設の急性期病院に勤務する看護師11名であった。データ収集は、外来、病棟、退院調整、訪問看護師を1組としてフォーカスグループインタビューを2組に実施し質的分析を行った。 第一段階では、急性期病院に入院する認知症者の退院に向けた同一施設内看護師間の情報共有の内容として、認知症患者は生活者であるという視点をもち自宅で実施可能な健康管理ができるよう情報共有していることが明らかになった。地域包括システムにおいて看護の質は、在宅復帰率に影響を及ぼすことから急性期病院における看護師の認知症対応力向上が重要であることが示唆された。 第二段階では、急性期病院の身体合併症で入院した認知症者とその家族が抱える課題および看護師に求められる課題について質的分析を行った。認知症者とその家族が抱える課題は、認知症者の身体合併症および認知力低下に伴う<創部処置と内服薬の自己管理の困難さ>、<患者の意志疎通の困難さ>、<介護拒否>、<在宅酸素療法の必要性の認識不足>、<身体の清潔と食事への関心の低さ>があり,家族に攻撃的になることで<患者と家族の関係性の悪化>が明らかになった。また看護師に求められる課題としては<正しい認知症の判断を行い、迅速なサポートを行う必要性>が明らかになった。地域生活の継続には、身体的支援の継続を確実に地域医療につなげていくことと、急性期病院の他部署看護師間における役割と連携についての課題を明確にして対策を講じることが効果的な支援につながることが示唆された。 現在、看護連携ガイドラインの項目検討を行っており、次年度は、看護連携ガイドラインの指標となる項目の妥当性検証のための全国調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として、急性期病院に入院する認知症者のBPSDや身体合併症への適切な対応を目指すための課題抽出および地域生活継続に向けた看護連携上の課題の明確化および実態の明確化を図ることについて、概ね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究結果をもとに、急性期病院において認知高齢者のBPSDや身体合併症への適切な対応を進め、外来―病棟―退院調整―訪問看護の各時期にかかわる看護師が看護連携のための共有すべき情報、アセスメント、看護活動及び評価項目を整理し、急性期病院における認知症者の地域生活継続を支援する看護連携ガイドライン項目の抽出を行う。さらに、考案した看護連携ガイドラインの指標となる項目の妥当性を検証するための全国調査を実施する。
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Causes of Carryover |
課題抽出に向けて、質的研究の飽和状態となるための再度インタビュー調査を行う。また看護連携ガイドライン項目の抽出を行い、全国調査の実施をするとしたため、予定額を次年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(2 results)