2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢患者の術後せん妄予防・緩和のためのハンドマッサージ法による全人的アプローチ
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19K11234
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Research Institution | Shijonawate Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 都也子 四條畷学園大学, 看護学部, 教授 (30321136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕美子 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (00285321) [Withdrawn]
山岸 千恵 京都看護大学, 看護学部, 准教授 (30382815) [Withdrawn]
竹 明美 大阪医科薬科大学, 看護学部, 講師 (30344568)
平上 久美子 姫路獨協大学, 看護学部, 准教授 (00550352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者術後せん妄 / 多職種チームによる多因子介入 / 看護実践としてのタッチケア / ハンドマッサージ / せん妄増悪関連因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,超高齢化や医療の高度化に伴い,手術療法を受ける高齢者は増加し,術後せん妄の発症が問題となっている。術後せん妄は,術後経過のみならず予後にも影響を及ぼす深刻な問題である。 我々は,これまでに若年健常者および高齢者,さらに高血圧治療中の高齢者や緩和ケアを受けている入院患者などにおいて,生理学・心理学的にハンドマッサージ法のリラクセーション効果や社会的相互作用を明らかにし,その安全性も確認できた。そこで,看護実践におけるタッチケアのひとつとしてハンドマッサージ法を含む,他職種連携による高齢術後せん妄を予防・緩和する多因子介入の検討を目的とする。 2020年当初からのCOVID-19の感染拡大により,予定していた病院での臨床における介入研究が困難になった。そこで,新たにせん妄ハイリスク高齢患者の入院生活を支援する多職種連携チームが活動している病院との関係を構築し,そのチームの活動への参加を開始した。そして,文献検討で明らかにされた効果をどのように臨床場面に適応し,課題をどのように解決していけるかを検討してきた。2021年度は,周術期の高齢患者に頻発するとされている「せん妄」について,その誘因・原因や効果が期待される介入方法などの影響を明らかにするために,急性期病院で手術療法を受ける高齢患者の実態調査と,高齢患者の術後せん妄対策の評価指標の検討を行った。 また,せん妄発症の誘因・原因については,医学的に究明されてきていが,せん妄発症や発症による生命・生活レベルの低下は,高齢者においていまだに深刻な問題である。そこで,先行文献の検討により,せん妄発症初期の幻覚症状の認知が,その後の重症度や種類(活動型/低活動型)に影響を及ぼしていると推測した。そして,2021年度は,せん妄症状の増悪に関連する諸因子を探索するために,中高年者を対象としてweb アンケートを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年当初からのCOVID-19の感染拡大により,研究協力病院の変更と新たな関係構築に時間を要した。加えて,COVID-19の感染拡大により,直接患者にふれるハンドマッサージ法による介入は,感染予防の観点から困難となった。 そこで,高齢者術後せん妄対策について,他職種連携チームによる多因子介入という視点から研究を見直した。さらに,せん妄の重症度や種類(活動型/低活動型)に影響を及ぼすと考えられる諸因子に注目し,文献検討やweb調査を新たに実施した。 以上のように,当初の計画を追加・修正して,目的である高齢者術後せん妄の効果的な対策を検討しているために,時間を必要としている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 高齢患者の術後せん妄管理 急性期病院において,周術期の高齢患者に頻発するとされている「せん妄」について,その誘因・原因や効果が期待される介入方法などの影響を明らかにするために,過去10年間の手術療法を受ける高齢患者の実態について,調査データの分析と論文作成を行う。さらに,他職種連携チームの活動の実態を調査し,さらに,高齢患者の術後せん妄発症が減少あるいは軽症化したかの評価指標を決定し,チーム介入開始前後での比較研究を実施する。 2. せん妄症状の増悪に関連する諸因子の探索 せん妄の体験に関する質的研究によると,多くの患者が発症初期に幻視を体験している。そして,この幻視体験の認知の違いが,せん妄の重症度や種類(活動型/低活動型)に影響を及ぼしていると考えられた。そこで,このせん妄の重症度に関連する諸因子について,文献検討を行う。 また,40歳から79歳までの中高年を対象として,「術後せん妄」 発症を想定したときに予測する態度に,「せん妄/術後せん妄」 の認知度や体験の有無,健康状態・健康感や性格特性と関連があるかを明らかにすることを目的として実施した,web アンケートの分析と論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
2020年当初からのCOVID-19の感染拡大により,研究協力病院の変更や研究計画の見直しが必要となった。そのため,当初計画よりも文献検討が必要となり,予算執行が予定よりも少なくなった。 また,web調査を年度末に実施したため,支払いが新年度になった。 加えて,多くの学会がリモート開催となり,研究チーム会議も回数は増えたがリモート開催としたため,旅費の予算執行が予定よりも少なくなった。
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