2020 Fiscal Year Research-status Report
地域特性を考慮した、住民組織の育成・協働に関する実装戦略の基盤構築
Project/Area Number |
19K11258
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
今村 晴彦 東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 普及と実装科学 / 実装戦略 / 住民組織活動 / 健康まちづくり / ソーシャル・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、行政による、健康づくりに関連した住民組織活動の育成・協働について、①どのような地域特性において、②どのような手法を用いることが、地域の健康に資するか、という実装戦略の基盤構築を試みる。研究では特に、エビデンスと現場のギャップを埋める学問領域「普及と実装科学」に着目する。研究対象地域はA市とし、2012年度より実施されてきた、92の小学校区単位の「健康まちづくり」事業に着目する。 令和2年度は、まず、市との協議のうえ選定した35項目の行政情報について、校区単位の集計データの提供を受け、事業の成果、健康の地域差およびその関連を分析した。市民の健康に関わる13指標について、過去6年間における92校区の中央値の変化を分析した結果、7指標で改善傾向がみられた。一方で、標準化死亡比(SMR)や国保の成人肥満度などの各種健康指標について地域差があること、かつそれらの指標間に一定の相関があることが確認された。 また、2019年12月~2020年2月に実施した、地域関係者43人および市の職員41人についてのグループインタビュー結果について、実装研究のための統合フレームワーク(Consolidated Framework for Implementation Research: CFIR)に沿って分析した。地域関係者のインタビュー結果を分析した結果、保健師の働きかけ回数が多い校区は、地域の具体的な健康課題に即した活動も実施しており(子どもの肥満対策、健診受診勧奨、減塩教室等)、さらに「健康まちづくりを自発的なものとしてで認識」「地域のキーパーソンを広く巻き込む工夫」「具体的な地域の健康課題やニーズを共有」などの特徴が抽出された。これらは健康まちづくり事業の促進要因であることを示唆していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行政情報分析とインタビュー調査について、令和元年度に引き続き、分析を実施することができた。一方で、当初の計画では、令和2年度は地域関係者や行政職員を対象とした質問票調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、計画の延期が必要となった。調査の実施、およびその内容についてはA市と協議済であり、次年度、適切な時期を見計らって、調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、地域関係者や行政職員を対象とした質問票調査を実施する。これまで実施した行政情報分析とインタビュー調査の結果分析から、「健康まちづくり=住民組織活動の育成・協働」の推進に重要と考えられる項目を選定し、質問票案および実施計画案は策定している。今後、A市と具体的な実施方法について協議を進め、2021年の夏~秋頃を目標に調査を実施する予定である。調査の実施後、結果をデータ化したうえで分析し、これまでの行政情報分析およびインタビュー調査の結果とあわせて、最終的に実装戦略の基盤構築を試みる。
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Causes of Carryover |
令和2年度に実施予定であった質問票調査が延期されたため、調査実施に関わる印刷費やデータ入力費等の予定額がそのまま次年度使用額となった。次年度は計画通り質問票調査を実施し、予定額を使用する。
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Research Products
(4 results)