2019 Fiscal Year Research-status Report
小離島の「互助」を活かした高齢者ケアの創出を推進する看護実践モデルの提案
Project/Area Number |
19K11281
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
田場 由紀 沖縄県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30549027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 ゆかり 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (00588824)
野口 美和子 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 名誉教授 (10070682)
大湾 明美 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (80185404)
光来出 由利子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (40848024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者ケア / 住民の主体性発揮 / 小離島 / 地域ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小離島の互助を活かした高齢者ケアの創出を試み、地域の医療・介護の課題解決に互助を活用する看護実践モデルを提案することである。令和1年度は、小離島の住民が主体となる活動が誕生したプロセスを整理し、看護実践モデルの試案を作成することであった。まず、住民の主体的な活動を支援する看護職者の役割について文献検討を行い、住民と看護職者との役割関係に着目した。その結果、看護職者は、支援者としての関係を住民とのかかわりの糸口にしつつ、エンパワーメントを意識することで住民の主体性を育む、または住民の中にリーダーを見いだし育成するというアプローチであった。アウトカムは、住民のエンパワーメント、活動の創造がある一方で、活動の形骸化、停滞などの限界が示唆された。次に、研究者らの小離島における地域包括ケアシステム構築支援に関する活動の再整理を行った。整理の方向性として、住民を支援の対象ではなく課題解決者と位置づけ、住民と看護職者との関係を捉え直し実践内容を記述した。その結果、住民の主体性発揮を意図した看護実践には、【当事者意識を高める意識改革】、【住民のペースに合わせた目的共有】、【自己理解と地域理解への誘い】、【課題と強みのアセスメントで住民力の活性化】があった。これらの働きかけに対し住民は、【島民代表としての期待に応える行為者】、【当事者の自覚と責任による課題解決への関心】、【島への愛着が引き出す個々の強み】、【島に合う活動方法を創造】、【柔軟性の発揮で共に変化】などの主体性を発揮ていた。これらの結果を用いて、住民の主体性発揮を意図した看護活動の構造を試案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度の計画は、文献検討と実践モデルの試案であった。その成果は、日本ルーラルナーシング学会誌に投稿し、採択された。概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、看護実践モデルの試案を用いて、住民の主体性発揮を意図した「互助」の活動による高齢者ケアの創出支援である。これは、小離島での参加型アクションリサーチですすめるが、新型コロナウィルス感染症の予防対策を講じながらの取り組みとなる。そのため、活動の縮小または予防のための消耗品確保を考慮した計画の見直しが必要である。
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Causes of Carryover |
平成30年度修了予定の科研を延長し、令和1年度まで継続実施していたため、本課題への取り組み時間が十分確保できなかった。計画の内、文献検討や活動モデルの試案作成は実施できたが、現地での活動や、他のフィールドの視察が十分行えなかった。これらの実施内容は、令和2年度計画へと持ち越すこととなった。
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