2020 Fiscal Year Research-status Report
模倣時の脳活動と眼球運動の同時計測による自閉スペクトラム症児の評価・介入法の開発
Project/Area Number |
19K11380
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大歳 太郎 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (40336483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉澤 茂樹 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (40517025)
中井 靖 宮崎大学, 教育学部, 教授 (80462050)
木村 大介 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (90513747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自閉症 / 視覚刺激 / 表情 / 眼球運動 / 模倣 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム(ASD)の主要な症状である共感性や模倣の問題を説明する仮説として,ミラーニューロン(mirror neuron system: MNS)障害説が注目されている。これらと関連のある他の問題では,感覚刺激の反応亢進または低反応,日常生活や運動場面における手指や動作の不器用さ,眼球運動の拙劣さが挙げられる。定型発達児とASD児を対象とした社会性と眼球運動に関する研究では,モニターをとおした発話中の表情について,どこを中心に見ているかに関して調査した結果,定型発達児群は会話のやり取りに応じて,皆同じようなタイミングで視線を話者から次の話者へと移動させているのに対して,ASD児群にはそのようなダイナミックな注視パターンの切り替えは見られず,思い思いのパターンで視線を移動させていたことが明らかとなった(Nakano et al, 2010).これら当該児の問題の改善にMNSに着目したニューロリハビリテーションへの応用が期待されているが,その成果報告はない現状にある。つまり,早期からMNSを賦活させる方策を構築することが,ASDのライフステージを見据えた支援を行うために重要である。本研究では,先行研究やニューロリハビリテーションの考え方にもとづき,表情模倣課題と表情と手指模倣課題といったさまざまな模倣課題を設定している.これらの模倣課題時の脳活動と眼球運動を同時計測することにより,ASD児の模倣や視線追従のパターンが明らかとなり,エビデンスにもとづいたASD児の早期発見,早期支援を促進する可能性を秘めており,多職種への波及効果は大きいと考える. そこで今年度は,眼球運動と模倣に着目し,対象者が手の形と表情の2つを見比べて模倣する際に,どこに注目しているか,どの順序で模倣するかについて,成人及び大学生のデータを収集して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍ではあったが,本研究は対象者に非接触で実施できるため,感染防止に努めてデータを収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,健常者のデータをさらに追加して収集している。また,夏休み中に健常児と自閉スペクトラム症児のデータ収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,学会発表に係る旅費や研究分担者との打ち合わせに係る旅費が全く必要なくなった。また,謝金は今年度数名のみしか使用しなかったため,全体の予定使用額が減少した。 今年度,データ収集を健常児・者及び自閉スペクトラム症児に行うため,謝金が多く発生する計画となる。
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