2020 Fiscal Year Research-status Report
線維筋痛症に対する振動刺激の疼痛緩解作用と中枢神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K11383
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
土井 篤 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (60619675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
申 敏哲 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70596452)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | exercise / cardiac arrhythmia / fibromyalgia / mouse model |
Outline of Annual Research Achievements |
線維筋痛症患者は筋骨格系の痛みに加え、心血管系の合併症も起こすことがあるので、若い線維筋痛症モデル動物において長い時間浅いプールの中で歩行運動を行わせることで心血管系にどのような影響が起こるのか検討しました。まず、野生型マウスに対してreserpineを3日間連続投与することによって線維筋痛症モデル動物(マウス)を作製します。そして2種類の条件下(浅いプールの有る無し)で5分間と1分間の歩行運動を実施し、その間の行動と心電図の解析を行いました。その結果、特に浅いプール条件下で5分間の歩行運動を行うと、他の条件に比べ歩行距離が延びた分、有意な心拍数の減少と心拍の不規則性(心房細動)が認められました。次に、この若い線維筋痛症モデル動物を用いて、段階的に浅いプールの中で歩行運動を行わせることで、痛み閾値、行動、及び心血管系にどのような影響が起こるのか検討することを行いました。Reserpineの3日間連続投与によって作製した線維筋痛症モデル動物を2群に分け(コントロール群と浅いプール歩行群)、それぞれ作製後の日数に応じて、段階的に歩行運動を3週間実施します。その間、1週間毎に感覚閾値と行動評価を行い、4週目に歩行運動前後の心電図測定の測定と歩行後の回復をビデオに録画いたしました。その結果、コントロール群と浅いプール歩行群との比較では、感覚閾値や行動自体に変化は認められませんでしたが、 浅いプール歩行群の方が歩行後に再び動き出すまでの時間が有意に短く、また心電図変化(不整脈の出現、心拍数の減弱数)も少ない事が分かりました。以上の結果より、段階的なプール内歩行は、線維筋痛症モデルマウスの痛みや普段の行動に効果がありませんでしたが、運動後の心肺機能や筋骨格系に良い影響を与えることが考えられました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維筋痛症に対して運動療法を行う場合、痛みのために歩行しようとしないので何らかの工夫が必要と考えられます。その一つ温水の使用だと考えられます。その場合、深い温水を使用すると溺れてしまう可能性があるので、浅いプールを用いた水中運動を行う必要が有るのではないかと考えております。もう一つが全身振動刺激を利用です。全身振動刺激は水中での運動と比べリスクが少ないし、関節運動を伴わないので、マウスにとっても負担が少ない治療方法だと考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、線維筋痛症モデル動物を用いて、線維筋痛症と水中運動療法、或いは全身振動刺刺激の効果、また線維筋痛症と中枢神経系の変化を中心に研究を進めていく予定です。
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Causes of Carryover |
今年度購入するのを忘れていた実験に要する消耗品等に使用する予定であり、来年度有意義に使い切るつもりです。
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