2020 Fiscal Year Research-status Report
環境と空間認知の発達からみた幼児期における多様な動きの習得メカニズムに関する研究
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19K11465
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
森 司朗 鹿屋体育大学, 理事, 理事(教務・学生・研究・国際交流担当)・副学長 (80200369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (10423732)
畠中 智惠 純真短期大学, こども学科, 助教 (30883615)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幼児 / 運動発達 / 空間認知 / フィードフォワード制御 / 基礎的運動パターン / 運動経験 / 環境 / フィードバック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度得られた戸外での自由遊び中の動きの習得過程の結果に関して年少児13 名(男児8名、女児5名)、年中児14名(男児6名、女児8名)、年長児15名(男児6名、女児9名)の3つの年齢区分に従って自由遊び中の動きの様子(30分間)のデータをもとに、37種類の基礎的運動パターン(杉原ほか2011)に分類を行った。さらに、そのパターンを基本動作(姿勢変化、平衡動作、上下動作、水平動作、回避動作、荷重動作、脱荷重動作、捕捉動作、攻撃的動作)とカテゴリー(安定性、移動動作、操作動作)に整理し、時系列的に分析を行った。その結果、年少、年中、年長のそれぞれの発達的特徴において、共通性と特異性が確認された。また、里山の自然環境で月に1度行われている「森のようちえん」活動を行っている園の2歳児から5歳児までの4クラスの担任教師に最近1週間の子どもを観察してもらい、37種の運動パターンの出現割合と出現頻度に関して約5か月間にわたり評定を行ってもらい、そのデータを回収した。さらに、里山の自然環境で月に1度行われている「森のようちえん」活動の中の自由遊びの時間(30分)での2歳児から3歳児の活動の様子を7月から3月にわたり、4台のビデオカメラで撮影するとともに、それぞれの幼児にトラッキングセンサーのついたチョッキを着用させ、活動中の行動の軌跡や同距離、移動面積を測定した。さらに、活動中の歩数も万歩計を使って測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
里山の自然環境で月に1度行われている「森のようちえん」の活動を実施している保育園の協力が得られ、2歳児から5歳児までの日常の保育での運動パターンの出現割合と出現頻度に関して時系列的な変化を確認できるデータを回収することができた。また、天候の影響も受けたが、同保育園の「森のようちえん」活動の中の自由遊びの時間(30分)での2歳児から3歳児の7月から3月にわたる活動の様子を撮影することができたため、現時点で分析に必要なデータを確保することはできた。さらに、測定に関しては対象児の活動中の行動の軌跡や同距離、移動面積、歩数をトラッキングセンサーと万歩計を使って測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた2つの調査結果に基づき、まず、今年度に行った戸外での多様な運動経験中の動きについて年間を通しての変化を時系列的に整理し、動きの多様性経験が引き出す動きの形成過程についてまとめる。さらに、次年度も今年度同様「森のようちえん」活動中の「自由遊び」の時間での子どもの身体活動を測定し、今年度の結果とともに自然環境での幼児の獲得している動きの種類や時系列的な動きの変化等に関して分析をおこなうことで運動経験の“多様さ”と環境の関係を明らかにしていく。また、今年度調査できなかった4歳児の3人一組の“おにごっこ”を通しての空間認知能力の発達と動きの変化について測定し、 昨年度測定した5歳児の結果とともに“おに”の“子”を追跡する追跡行動において“子”の動きを追従するようなフィードバック制御と“子”の動きを前もって予測して行動を開始するフィードフォワード制御に基づく2つの追跡行動に関する発達的な違いを横断的な分析をおこなう。最終的には、これまで得られた結果に基づき多様な運動の経験が引き出す動きの変化とその際の環境の特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナの影響で国外・国内での学会等での発表を行わなかったため,その分の予算が残った。次年度はこの予算を使って、今年度測定できなかった追加実験を行うとともに、学会発表や論文作成に関する予算に加算していく予定である。
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