2020 Fiscal Year Research-status Report
運動遊びは幼児期の脳機能に影響する。ストレス反応および実行機能に注目した実証研究
Project/Area Number |
19K11588
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
満石 寿 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (30612915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体活動量 / 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) / 唾液中コルチゾール / 実行機能 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
身体活動量が顕著に減少する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う緊急事態宣言中の3週間に焦点を当て2つの研究を行った。まず、家庭に運動プログラムを配信することによる身体活動量と精神的ストレスおよび実行機能の関係について検討を行った。実験協力者は,大人15名,児童8名,幼児2名であり,2020年5月7日,から5月27日の3週間,親子ともに活動量計を装着したまま生活し、5月7,20,27日に唾液採取,実行機能測定課題を行った。その結果,親と子どもには,それぞれ1週目と3週目において目標とされる身体活動量を下回る活動量であったものの,精神的ストレスを大きくかかえることなく生活を行なっていたことが示された。しかし,思考や判断については,親は精神的ストレス,子どもは身体活動量と関係が見られる指標が異なった。「新しい生活様式」を今後実践していく上でも,どのような運動を実践し,身体活動量をどのように維持し,精神的健康を保つかについて,さらなるデータの含蓄が必要となる。 また、活動量の計測例が少ない小学生32名を対象に身体活動量と精神的ストレスおよびメンタルヘルスの関係について検証を行った。その結果、研究実施期間において精神的ストレスは少ない状態を示したが、身体活動量とメンタルヘルスとの関係については、2週目、3週目において不活動時間と不機嫌・怒りとの間に負の相関関係が認められ、無力感との間に負の相関関係を示す傾向が見られた。また、2週目、3週目において低強度活動時間と不機嫌・怒り、無力感との間に正の相関関係が認められた。認知的実行機能は3週間で差は認められなかったが、2週目の認知的柔軟性と身体活動量に有意な関係が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスに伴い、当初予定していた幼稚園、保育園における研究が遂行できなくなったものの、対象者が少なくはなるが、大学内の教職員の家庭や一 般家庭に調査を依頼し、研究の遂行を行なっている。特に、新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言中から解除に向けた時期において、データを採取した点においては、対象者数が少ないものの有効なデータとなると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、運動遊びプログラムをの中でも現在の研究結果から手を使う運動に実行機能との関係がうかがえることから、その効果検証を行う。評価項目には身体活動量、実行機能、ストレス反応を用いる。また、子どもだけではなく、COVID-19によって親子でいる時間が増えていることから、親子で遊ぶことの効果も検証していく。なお、プログラムは、自宅や保育現場で実行可能で、その後幼児本人や保育で応用・展開が可能なものを研究の対象して考えている。
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