2021 Fiscal Year Annual Research Report
運動遊びは幼児期の脳機能に影響する。ストレス反応および実行機能に注目した実証研究
Project/Area Number |
19K11588
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
満石 寿 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (30612915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 親子遊び / コーディネーション / コルチゾール / 認知的柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親子遊びとしてのコーディネーション要素を含む運動が親子のストレスおよび実行機能の一つである認知的柔軟性に及ぼす影響を明らかにすることであった。対象者は、4歳から6歳の未就学児をもつ親とその子ども(男児、女児)を対象に研究を行った。本研究で用いたコーディネーション要素を含む運動は、母親が番号を言いながら投げたボールを、番号に対応した4つの指定された動きをしながら子どもが前に出した手でキャッチした。具体的には、母親が「1」と言いながら投げた場合、子どもは右足と右手を前に出した。2の場合は、左足と左手を前に出し、3の場合は、左足と右手を前に出した。4の時は、右足と左手を前に出した。数字は、1から4の番号をランダムに言うように指示した。また、子どもの失敗が3回続いた場合は、母親が見本を見せて、再度子どもがやるように勧めた。その対照群として手先を使って遊ぶ粘土遊びを設定した。 分析の結果、親子遊び後の唾液中コルチゾールは親子遊び前と比較して変化量としては低くなるものの、それぞれの群において有意な減少は見られなかった。この結果の傾向は、認知的柔軟性についても同様であった。本研究では、複数ではなく1つのコーディネーション要素を含む運動であっても子どもと一緒に母親が遊びとして行うことでストレス軽減効果の可能性を見出した点については新たな知見であった。しかしながら、親子遊びによって、コルチゾールの減少が生じることで、認知的柔軟性が向上することが推察できたものの、その仮説は支持されなかった。今後は、運動に伴う認知機能の効果を明確にするためには、遊び直後の測定にとどまらず、その後の状態も時系列的に変化を測定・解析することが必要と考える。
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Research Products
(1 results)