2019 Fiscal Year Research-status Report
Involvement of gut microbiome-derived monoamines in the induction mechanism of voluntary physical activity behavior
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19K11612
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
村上 晴香 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部, 室長 (20344880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モノアミン / 腸内細菌 / 運動行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、疾患発症や死亡の大きな要因となる身体不活動を食い止めるべく、身体活動・運動行動の生体内誘発メカニズム解明を目的に行う。セロトニンやドーパミンといった報償作用を持つモノアミンの多くは腸内細菌により産生され、人の体内循環へ入った後に脳へ作用することが示唆されている。一方、脳内のセロトニンやドーパミンは、運動行動と関連すること報告されていることから、腸内細菌により産生されたモノアミンが脳へ作用し、日常の身体活動・運動行動に影響していると仮説を立てた。これを検証するために、既存の腸内細菌叢のデータを活用し、血中モノアミン濃度と関連する腸内細菌を同定し、かつ日常の身体活動量や運動習慣との関連を検討することで、腸内細菌由来の血中モノアミンが身体活動・運動行動との関連を検討する。 本年度においては、現在進行している腸内細菌研究において血液サンプリングを実施するとともに、身体活動・運動行動に対する意欲などの心理的指標の調査を中心に行った。2019年度において270名の対象者より血液試料の収集および身体活動・運動行動に対する意欲などの心理的指標の調査を終了した。運動習慣(1日合計30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施)は、男性で44%、女性で42%が「はい」と回答していた。また、運動行動に対する意欲については、運動に関する感情経験、態度、行動意図に関して計6つの設問について聞き取りを行った。そのうち、『仕事や家事などで忙しい時でも、運動を行いたい』という設問について、「全くそう思わない」と答えたものは6.3%、「あまりそう思わない」は20.4%、「どちらともいえない」は27.9%、「少しそう思う」は30.9%、「強くそう思う」は14.5%であった。今後は、収集した血液試料からモノアミンの解析を行い、これら運動意欲や腸内細菌叢との関連について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、現在進行している腸内細菌研究において血液サンプリングおよび心理的指標の調査を中心に行った。当初、対象者数を100名としていたが、予想以上のリクルートが可能となり、計270名の研究参加者を得ることができた。その内訳としては、男性125名、女性145名であり、平均年齢59.6±14.5歳で、年齢幅が21歳~74歳であった。これにより、性・年代別の解析や運動実施の有無での解析といった感度解析が可能になったと考える。これは、本研究を実施するにあたり、得られた研究データの深化した考察を可能にするものと思われる。一方、血中モノアミン濃度の解析については、3月末までに実施できず、2020年度への持ち越しとなった。これは当初100名分の解析を予定していたことから、血中モノアミン濃度の解析者を絞り込む作業が必要になったためである。今後、運動意欲に関するパラメータにおいて特異的な対象者を、各性別・年代別で選別し、血中モノアミン濃度の解析を行っていく。これらのことを鑑み、現在の進捗状況としてはおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に収集した血液試料について、モノアミンの解析を行う。また、2019年度に進行していた腸内細菌研究の腸内細菌叢データを二次利用し、腸内細菌叢と血中モノアミン濃度との関連について検討を行い、血中モノアミン濃度と関連する腸内細菌叢を同定するとともに、実際の運動行動や運動行動意欲(運動に関する感情経験、態度、行動意図)、運動に対する嗜好との関連についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初、対象者数を100名としていたが、予想以上のリクルートが可能となり、計270名の研究参加者を得ることができた。これにより、血中モノアミン濃度の解析対象者の絞り込みの検討が必要となった。その絞り込みに時間がかかり、当該年度に予定していた血中モノアミンの解析に遅れが生じた。この解析に必要であった試薬等の購入を次年度以降としたため、次年度使用額が生じた。この使用額は、当初の予定通り、血中モノアミン解析に必要な試薬等の購入に充てる予定である。
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[Presentation] A study of gut microbial variations associated with phenotypic metadata in a healthy Japanese population2019
Author(s)
Park J, Chen Y-A, Mohsen A, Kawashima H, Hosomi K, Tanisawa K, Ohno H, Konishi K, Natsume-Kitatani Y, Murakami H, Miyachi M, Kunisawa J, Mizuguchi K.
Organizer
International Society For Computational Biology
Int'l Joint Research