2020 Fiscal Year Research-status Report
Involvement of gut microbiome-derived monoamines in the induction mechanism of voluntary physical activity behavior
Project/Area Number |
19K11612
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 晴香 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20344880)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | モノアミン / 腸内細菌叢 / 運動意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、疾患発症や死亡の大きな要因となる身体不活動を食い止めるべく、身体活動・運動行動の生体内誘発メカニズム解明を目的に行っている。腸内細菌叢を介したセロトニンやドーパミンは、人の体内循環へ入った後に脳へ作用することが示唆されている。一方、脳内のセロトニンやドーパミンは、運動行動と関連すること報告されていることから、腸内細菌を介したモノアミンが脳へ作用し、日常の身体活動・運動行動に影響していると仮説を立てた。これを検証するために、既存の腸内細菌叢のデータを活用し、血中モノアミン濃度と関連する腸内細菌を同定し、かつ日常の身体活動量や運動習慣との関連を検討することで、腸内細菌由来の血中モノアミンが身体活動・運動行動との関連を検討する。 これまで、既存の腸内細菌研究において血液サンプリングを実施するとともに、身体活動・運動行動に対する意欲などの心理的指標の調査を中心に行った。本年度においては、収集した血液試料からモノアミンの解析を行ってきた。また、腸内細菌叢と身体活動・運動行動との解析についても進めており、腸内細菌のFaecalibacteriumとの関係性が示唆された。このFaecalibacteriumは、短鎖脂肪酸の一つある酪酸を産生する菌であり、本研究対象者の9割以上が保有しており、平均の存在比は約7%であることが示された。また、先行研究において、Faecalibacteriumは、体力との関連が示唆されている。今後は、モノアミンの解析を進めるとともに、腸内細菌叢、運動意欲、身体活動・運動行動との関連について検討を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においては、研究実施者の所属の変更に伴い、情報・試料の移行が必要であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響による移動自粛や引っ越し業者手配等に遅延が生じたため、試料の移行に遅れが生じ、当該年度に予定していた数の血中モノアミンの解析がやや遅れている。現時点においては、情報・試料ともに移行が完了し、解析可能となっているため、2021年度において速やかに解析を終了させる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、血液試料については、約270名分の検体を収集済みである。これら血液試料について血中モノアミンの解析をELISA法を用いて引き続き実施していく。モノアミンとしては、ドーパミン、セロトニンを第一優先として測定し、検体の残量に応じ、その他のモノアミンの測定を追加する予定である。その後、血中モノアミンと関連する腸内細菌叢の同定を多変量解析を用いて行う。さらに、腸内細菌叢と調査票により得られた運動行動意欲(運動に関する感情経験、態度、行動意図)との関連について検討を行う。また、3軸加速度計にて測定した実際の身体活動量との関連についても検討を行う。これら腸内細菌叢と運動意欲・運動行動との関連については、現在、Faecalibacteriumとの関連性が示唆されている結果を得ているところであるが、腸内細菌間の相互作用の視点なども解析に含めることで、腸内細菌の相互作用とモノアミン生産や行動意欲・行動との関連についても検討を加える。これらの解析を通して、腸内細菌叢-血中モノアミンー運動行動意欲-運動行動の相互関連性の解析を行い、腸内細菌叢を介した運動意欲・運動行動への影響について明らかにしていく。 本研究で得られた成果を基に、今後、運動行動と関連すると同定された腸内細菌叢を変化させうる食事やサプリ等を検討することで、腸内細菌叢を介した運動行動意欲・運動行動の変容へつなげることが可能であると考える。
|
Causes of Carryover |
当該年度においては、研究実施者の所属の変更に伴い、情報・試料の移行が必要であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響による移動自粛や引っ越し業者手配等に遅延が生じたため、試料の移行に遅れが生じ、当該年度に予定していた数の血中モノアミンの解析がやや遅れた。そのため、予定していたキットの購入を次年度に行うこととしたため。
|