2020 Fiscal Year Research-status Report
生体の炭水化物量の多寡が骨格筋の代謝に及ぼす影響の網羅的解析
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19K11711
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Research Institution | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
Principal Investigator |
浜本 芳之 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 糖尿病研究センター代謝・栄養研究部, 部長 (50390787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低炭水化物 / SGLT2 / インクレチン / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢の対照(SGLT2+/+)マウスとSGLT2欠損マウスに通常(SC;炭水化物比率57.9%、蛋白質比率28.9%)と低炭水化物餌(LC;同20.9%、28.3%)をPair-feedingし総カロリーを同等に揃えて摂餌させると、自由摂餌下では4週後にはSCと比較しLCで体重が増加し対照マウスで耐糖能が悪化したのに対し、12週以上両マウスとも体重がSC・LC同等に推移し耐糖能異常も認めなかったが、15~17週後からSGLT2欠損マウスでSC、LC間で体重差が生じ、24週後の検討で腹腔内脂肪量や白色/褐色脂肪比に差異が認められた。そこで体重差が生じ始める時点での臓器変化や遺伝子発現変化を検討すべく、Pair-feeding 120日(17週)で検討を行った。OGTT・IPGTTによる耐糖能評価では両マウスともSC・LC間で4・8週は差がなかったが12週で差が現れ始め、16週でLC群の耐糖能が悪化した。特に自由摂餌下ではLC群で対照マウスにおいて肥満や耐糖能悪化が見られたのに対し、Pair-feedingではSGLT2欠損マウスの耐糖能が悪化していた。インスリン分泌はむしろSGLT2欠損マウスで高く、IPITTによるインスリン感受性は低下していた。両マウスともLC群でGIP分泌亢進を認めた。肝臓重量は対照マウスがLC群で増加したのに対し、SGLT2欠損マウスでは逆に低下していた。四肢骨格筋重量はSGLT2欠損マウスのLC群で低下傾向であったが有意差はなかった。遺伝子発現の検討では、肝臓においてLC群で両マウスともにGLUT2、GCKが発現上昇したのに対し、PEPCKは対照マウスで低下、SGLT2欠損マウスでは増加していた。また、白色脂肪細胞において対照マウスでUCP1が発現・増加したが、SGLT2欠損マウスでは発現はほぼ認めなかった。筋肉ではGLUT4は発現に差がなかったが、両マウスともにLC群でPGC-1の遺伝子発現低下が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年年初よりCOVID19の影響に加え、春に動物舎で感染症発生があった影響で研究所が活動停止し、実験の進行状況に遅延が生じたが、夏以後実験を再開しその後も間欠的にCOVID19の影響はあったものの、実験停止した数ヶ月分の遅延以外は概ね予定通りに実験は進行した。最大18週のin vivo実験は予定通り進行し、24週の予備実験から予想した群間差異の再現も得られ、血液・臓器検体の回収も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
総カロリーを一定に定めたPair-feeding下でSC、LCが対照マウス、SGLT2欠損マウスで耐糖能、内分泌に及ぼす影響のin vivoの検討はほぼ終了した。OGTTやIPGTTの血液検体、単離膵島のバッチインキュベーション法によるインスリン分泌刺激に対するインスリン分泌反応も検体は既に採取した。今年度は、採取保存した試料を用いて肝臓、脂肪組織、骨格筋の網羅的遺伝子解析およびRealtime PCRによる遺伝子発現の確認実験を実施するほか、ホルモン測定や組織学的検討、メタボローム解析を予定する。
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Causes of Carryover |
前年度よりCOVID19および動物舎の感染による実験中断期間があり、本来動物購入や飼育、解析に用いるために購入する予定であった消耗品が未購入のまま年度をまたいだため、繰り越し分を使用した。より高価な遺伝子解析やメタボローム解析に用いる消耗品購入がやや実験スケジュールが遅延したことや、今後のCOVID19の感染状況予測などを踏まえin vivo実験を先に終了し試料・検体を採取・保存した上で、それぞれを解析予定としたため次年度以降が最も必要経費が大きくなると予想している。
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