2019 Fiscal Year Research-status Report
Anti-inflammatory effects of delta-tocopherol on mouse adipocytes and adipose tissues
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19K11753
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清瀬 千佳子 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (50272745)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンE / δ-トコフェロール / 抗炎症作用 / 肥満 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本人の生活習慣病の罹患率の上昇を抑制するために、肥満からの炎症誘導を抑える事が出来る食品成分を見出す事を目的とした。食品成分としてビタミンE同族体の1つであるδ-トコフェロールに着目し、その効果と作用機序を解明するため、平成31年度(令和元年度)は肥満からの炎症誘導した状態の細胞モデルを構築する事を目的とした。マウスの前駆脂肪細胞である3T3-L1細胞と同じくマウスのマクロファージ細胞であるRAW264.7細胞を共培養(接触培養)させる事で炎症誘導した脂肪細胞モデルを作成する事にした。2つの細胞はそれぞれ立ち上げ、80%コンフルエントに達した時点で継代を行った。まず、3T3-L1細胞を12穴プレ-トに1wellあたり1.0×10^5個になるように撒いた後、3つの薬剤を用いて12日間分化誘導を行った。その後、RAW264.7細胞を1wellあたり2.0×10^5個になるように細胞を添加し、12時間共培養を行った。その後細胞を回収し、real-timePCR法にて炎症関連遺伝子を測定し、培養条件の検討を行った。その結果、共培養する事で、炎症性サイトカインであるIL6, IL-1βの遺伝子発現量が有意に上昇した。さらに、ケモカインであるMCP-1,一酸化窒素合成酵素であるiNOSの遺伝子発現量も有意に上がる事が確認できた。この炎症誘導が起こるシグナル伝達経路については、炎症性サイトカインの転写因子であるNF-κbのタンパク質発現量も有意に上昇する事が明らかとなった。そこで、構築した培養細胞系にα-とkフェロールおよびδ-トコフェロールをそれそれ添加して検討した所、δ-トコフェロールに共培養によって上昇したIL6及びIL-1βの遺伝子発現量を有意に低下させた。しかし、α-トコフェロールにはこの効果は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にはシグナル伝達のp38MAPK系についても測定可能となるように検討すると 記載したが、その点については現在取り組んている。NF-κbのタンパク質発現量は測定できるので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、まず、3T3-L1細胞とRAW264.7細胞との共培養系においてのもう一つの炎症誘導のシグナル伝達経路であるp38MAPKのタンパク質発現量が測定できるうに検討を行いたい。一方、NF-κb のタンパク質発現量はWestern blotting法で測定できるので、p38MAPKの検討と同時に、α-トコフェロール、δ-トコフェロール以外の同族体、特にγ-トコフェロール、α-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノールについて比較検討する予定である。現時点では、α-トコフェロールにはなく、δ-トコフェロールのみにある抗炎症作用なので、そのあたりの再現性ならびに他の同族体との比較を行いたい。 さらに、in vivoによる動物実験にも着手できればと考えている。3週齢のC57BL/6J Jcl系雄マウス24匹を一週間予備飼育後、体重に差が出ないように、対照群(C群)、高脂肪高ショ糖食群(H群)、高脂肪高ショ糖食+α-トコフェロール添加群(Hα群)、高脂肪高ショ糖食+δ-トコフェロール群(Hδ群)の4群に分ける(一群6匹)。ビタミンEについてはHα群でα-トコフェロールを餌1kgあたり1,050mgとし、Hδ群でα-トコフェロールを餌1kgあたり50mg、δ-トコフェロールを1,000mgとし、ビタミンEを除去したコーン油に溶解して、それぞれの餌に添加する。飼育期間は16週間とし、飼育期間終了後、一晩絶食した後にイソフルラン麻酔下にて解剖し、血液、肝臓、腎周囲脂肪、睾丸周囲脂肪、内臓脂肪を採取して血中TG濃度、血中コレステロール濃度、インスリン濃度の測定、組織については主に炎症性サイトカインの遺伝子発現量ならびにタンパク質発現量を検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究時期に合わせて消耗品を購入する中で残額が生じた。残額は少額だったので、次年度の研究に必要な試薬を購入する時に合算して使用する予定である。
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Research Products
(3 results)