2019 Fiscal Year Research-status Report
食品の新たな機能性:口腔内細菌増殖抑制によるインフルエンザ予防は可能か?
Project/Area Number |
19K11769
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
渡邊 健 安田女子大学, 家政学部, 准教授 (00346909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 感染予防 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は研究代表者が研究機関を異動となり、主に実験研究環境のセットアップを行った。インフルエンザウイルス感染は上気道で起きるが、インフルエンザウイルス粒子が感染した細胞から出芽する際に粘膜面・口腔内常在細菌のもつプロテアーゼの作用により活性化を受けることが言われている。本研究ではこうした常在細菌の増殖を制御すること、とくに食品およびその機能成分について着目して最終的にインフルエンザウイルス予防の道筋をたてるものである。 本年度は論文発表を1報行った。インフルエンザの予防のためにはインフルエンザウイルスの増殖を何らかの方法で抑制する必要がある。最も効果的なのはウイルスの複製の早い段階を抑制することである。そこでインフルエンザウイルス増殖に必須である核タンパク質(NP)に着目した。NPタンパク質が多量体を形成するのを抑制すると思われる化合物NUD-1をこれまでに見出しており、NPタンパク質の重合を抑制することで結果としてウイルス遺伝子本体(RNP)の核外輸送が阻害され、新たなウイルス粒子形成に必要なウイルス粒子構成タンパク質(M1,NP,HA,PA等)の合成が抑制されることを突き止めた。インフルエンザ予防には、常在細菌の増殖抑制だけでなく、ウイルスが感染しても発症しないよう、ウイルスの増殖を抑える発症予防の併用も必要になると考えている。そのため、インフルエンザウイルス粒子構成タンパク質を標的とした食品の機能性成分や化合物の探索も引き続き行っていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要のところでも述べたように研究代表者は研究立案時に所属していた研究機関より、異動となった。そのため研究環境のセットアップに予想以上に時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はウイルス増殖の評価法を多角的に検討するため、培養細胞を用いた系および用いない系など、複数たちあげ、食品およびその機能成分等、化合物の抗ウイルス活性評価を中心に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年4月に研究代表者が研究機関を異動したため、研究開始・セットアップや諸手続き申請に時間を要したため研究計画がやや遅れたこと、および移動後の大学でにある機器備品が本研究目的に見合ったものであるかの検討に時間を要したため。現在では必要な機器、ガラス器具等消耗品等が把握できたため、2年目は計画的に研究経費を執行する。しかし新型コロナウイルス流行により情報収集や学会発表出張や海外製品の試薬等の入手に支障がでることが予想されるため、不測の事態でも対応できるように余裕をもって研究を進めることとする。
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