2019 Fiscal Year Research-status Report
時空間データのスパースモデリングと実データへの応用による現象理解
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19K11861
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西井 龍映 長崎大学, 情報系新学部創設準備室, 教授 (40127684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章司郎 広島経済大学, メディアビジネス学部, 教授 (00197427)
持田 恵一 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (90387960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カーネル推定 / カラーマッチング / コンピュータービジョン / 植物表現型分析 / 時空間回帰分析 / スパース回帰分析 / パターン認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 代表者・分担者との協働により, 時空間の実データに対して統計モデルを開発・評価し,当該現象の特徴を把握することである。2019年度では色認識空間における楕円の推定, 植物表現型推定へのコンピュータービジョンの応用, 時空間データの回帰分析モデル推定と応用等を研究した。公開された論文の概要は以下の通りである。 色彩科学では, 人には色のズレがあっても同じ色と見なす視覚特性があり, 同じ色と認識する境界は Lab表色系では楕円体になることが知られている(カラーマッチング)。一方で19色の色中心と楕円体の形を決定する正定値行列は, DuPont datasetとして公開されている。この教師データに基づき, 色に応じた楕円体を予測する2種類の統計的方法論を提案した。いずれの手法も当該分野において先駆的研究であり, 今後の色楕円研究のベンチマークとなり得る研究成果である。 植物の表現型の変化(例:開花, 出穂)を特定するために, コンピュータービジョンを使用して画像やビデオから有用な情報を抽出することは重要な手法になっている。深層学習ベースの技術によって強化された画像解析手法, 多重分光画像による植物の生育と生理反応に関連するデータセット, 作物育種や精密農業のための大規模なフィールド表現型分析による自動化された植物表現型分析の最近の発展についてレビューした。 このほかにも統計学のトップ国際カンファレンスで経済時空間データ解析の招待講演, リモートセンシングのトップ国際カンファレンスで時空間回帰モデルの推定法に関する研究論文を発表した(「現在までの進捗状況」を参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の「研究実績の概要」のほか,下記の研究を推進し, 国際会議でのカンファレンスペーパーや単行本として発表した。 時空間データの回帰分析モデルでは, 周辺からの影響を推定するために固有値計算や逐次計算が求められる。ここでは2段階推定法により最尤推定量の近似計算を高速に行う手法を提案した。またインドネシアの州ごとの経済指標の時空間回帰分析の実証研究を行い, 最適な説明変数の組み合わせを探索する手法を提案した。 今までの研究とりまとめとして「スパース回帰分析とパターン認識」と題した単行本を出版した。すでにデータ解析の標準的手法となったスパース回帰分析, 判別分析, 深層学習, サポートベクターマシン, ランダムフォレストなどをRコードとともに解説した。特に深層学習はRのパッケージkerasで実装し, 具体例も豊富で実用性も高いと評価されている。 以上のように論文発表, 国際会議発表, 単行本出版と現在まで順調に研究を推進できていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
線形回帰分析において, 予測が過大あるいは過小となる場合の損失を非対称な重みで評価することが自然な場合がある。つまり非対称なロス関数に基づくリスクを最小にする母数推定に関する理論的研究が求められる。ここでは目的変数の予測値にリスクから定まる定数を加えることにより, バイアスの改良, および分散の削減を同時に達成できることがわかった。この結果は統計学の一流国際誌に改訂稿として提出している。また時空間回帰分析の2段階推定法の改良を提案し, 国際会議に投稿中である。また全球における弱い地震は太陽風の影響を受けて発生していることを統計的に示す研究も同様である。以上のように研究方針が明確であるため, この方針に従い研究を推進する。
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Causes of Carryover |
2019年度末に出席予定だった学会や研究会がコロナ禍のためキャンセルあるいはオンライン開催となったため, 24388円を次年度に繰り越すことになった。2020年度では繰り越し分と配分予定額と合わせて, 事務補佐員の雇用経費, コロナ禍が過ぎたときの出張旅費、パソコン・周辺機器や消耗品購入に支出する。
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Research Products
(16 results)