2020 Fiscal Year Research-status Report
時空間データのスパースモデリングと実データへの応用による現象理解
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19K11861
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西井 龍映 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (40127684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章司郎 広島経済大学, メディアビジネス学部, 教授 (00197427)
持田 恵一 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (90387960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 時空間モデリング / スパースモデリング / 精密農業 / 非対称損失 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 代表者・分担者との協働により, 時空間の実データに対して統計モデルを開発・評価し,当該現象の特徴を把握することである。以下発表した3論文の概要を述べる。 1)ハイパースペクトル画像(HSI)における教師なし特徴抽出について考察し,オートエンコーダー(AE)ネットワークに基づいてHSIからスペクトル-空間特徴を抽出する新しいアプローチを提案した.提案手法では,通常のAEベースの特徴抽出器は隣接する入力との依存関係を考慮している.これにより,AEが提供する特徴量で表現された滑らかな判別境界を生成することができる。 2)回帰の係数は、最小二乗法のように対称な損失関数を最小にするように推定される。本論文では,非対称損失の期待値を最小化する推定法を提案する。このとき損失の分散も同時に小さくすることができることを示した。本手法は電力市場からの電力調達にも応用可能である。 3)マルチオミクス解析に基づいて植物の健康状態をモニタリングするための分析技術の最近の進歩と、複数のオミクス分野から得られた異種のデータを統合して、目的の形質に関連する有益な因子を特定するための戦略についてレビューした。さらに、三次元表現型、植物の根の表現型、埋め込み型/注入型センサー、手頃な価格の表現型デバイスなど、さまざまな手段で植物の成長を非侵襲的かつ継続的にモニタリングすることを可能にする新しいフェノミクス技術を紹介した。 このほかにもリモートセンシングの国際トップカンファレンスで採択された2講演をリモートで行い、またスパースモデリングに関する単行本を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の「研究実績の概要」で示したように、3編の国際論文、スパースモデリングについての単行本を発行した。また査読付き国際会議で下記の内容で発表した。 地震を誘発する要因としては、潮汐力、降雨、人工貯水池の建設、採掘、化石燃料の抽出などが文献に記載されている。また太陽活動も地震の引き金になると推測されている。ここでは機械学習を用いて、太陽活動に関する物理量の時系列データを用いて、地球全体のマグニチュード別地震の発生頻度を予測した。その結果、太陽活動はマグニチュード3.0~5.9の地震を引き起こす要因の一つであると結論づけた。また、地震に関連する変数としては、地球の電場が最も有効であることも結論の一つである。 空間データに対する回帰モデルのパラメータ推定について考察する.対象となる変数を正確に予測するためには、隣接するセルからの影響を取り入れる必要があることはよく知られている。ここでは、次の2段階の方法を提案する。1)独立性を仮定して、説明変数の最適な非線形回帰関数を求める。2) 推定された関数によって目標値を予測する。3) 中心と近傍の予測値との線形回帰に基づく補正により、最終的な予測値を得る。実際のデータに適用したところ、非常によく機能し、説明変数の近隣効果の違いを明確にすることに成功した。なお、本手法は一般的な設定でも適用可能である。 以上のように論文発表, 国際会議発表, 単行本出版と現在まで順調に研究を推進できていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在 分担者の田中教授と 「 SPATIAL REGRESSION MODELS, 2nd Edition 」Michael D. Ward and Kristian Skrede Gleditsch の翻訳を行っている。同書は社会学的な見地からの空間回帰モデルを紹介している良書であり、統計学のエキスパートでなくとも理解できるように翻訳を心掛けている。また時空間回帰モデルによる効率的な変数選択手法について、議論を進める。以上のように研究方針が明確であるため, この方針に従い研究を推進する。 なお2020年に出席予定だった学会や研究会がコロナ禍のためキャンセルあるいはオンライン開催となったため, 約20万円を次年度に繰り越すことになった。2021年度では繰り越し分と配分予定額とを合わせて, 事務補佐員の雇用経費, パソコン・周辺機器や消耗品購入, コロナ禍が過ぎたときの出張旅費として支出する。
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Causes of Carryover |
2020年7月にアメリカで開催予定だった国際会議 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium で2件の発表予定だったが、オンライン開催となり、出張費用が不要となったため。
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Research Products
(8 results)