2020 Fiscal Year Research-status Report
超球面およびシリンダー上の新たな統計モデルの開発およびその推定に関する研究
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19K11863
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
宮田 庸一 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10514250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 方向統計学 / 非対称分布 / 有限混合モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度前半の研究から、これまで提案されている多くの円周上の非対称分布が、隠れマルコフモデルにおける最尤推定量の一致性を示すための条件であるGeneric identifiabilityを満たさない、もしくは満たすことを示せないことがわかった。 また交付申請書の研究の目的のところで記載した、「全ての母集団分布が対称であるとすることは果たして妥当なことなのか?」という問いを明らかするためにも、Umbach and Jammalamadaka (2009)、Abe and Pewsey(2011)により提案されたsine-skewingアプローチ、およびscale-transformingアプローチから新たな円周上の非対称なモデルの開発を行った。前者に関しては,確率密度関数のモードの周辺でsine-skewed分布よりも強い非対称性をもたらす分布に拡張することが可能であることがわかった。さらにこれらのモデルがパラメーターに関して識別可能であることも明らかにした。一方で、後者のscale-transformingアプローチに関しても,新たなモード不変の非対称分布を提案し、ベイズ推定量を用いることで実データに適用できることを示した。なお、後者に関しては下記の論文[1]に纏めてある。 [1] Toshihiro Abe, Yoichi Miyata, and Takayuki Shiohama. (2021). Bayesian Estimation for Mode and Anti-Mode Preserving Circular Distributions, Econometrics and Statistics. (To appear)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、コロナウイルスの影響により、遠隔講義を行う必要となったため、オンデマンド教材、および関連資料を作らなければならなくなり、また学内の教員に対する遠隔講義に関する資料作成や指導なども行う必要が出てきた。このため、多くの時間をその業務に費やす必要があり、研究の時間を確保することが難しかったため、研究が遅れてしまった。また、過労により2021年1月から重度の帯状疱疹になり、その治療に一カ月以上かかってしまったのも研究の遅れにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の3点について研究を進めていく。 1. 研究実績で報告したsine-skewingアプローチを拡張した円周分布を、シリンダー上の分布までさらに拡張できるかどうかの検討を行う。また国際学会で発表し、コメントを得ることにより、さらなる改良を行う。 2. 球面上の確率モデルに拡張する前に、まずは円周上でGeneric identifiabilityを持つような円周上の非対称分布の開発、もしくはGeneric identifiabilityを持つ既存のモデルを探す。 3. 球面上の新しい確率モデルの開発。上記の2.の問題が解決できない場合は、Generic identifiabilityを満たす球面上の非対称分布も構築ができない。その場合には、少しだけ研究の方向性を変え、von Mises-Fisher分布のように中心から歪みのない同心円状の形状の等高線を持つ確率密度関数を、より柔軟な楕円型の形状を持つモデルへの拡張、および識別可能性について検討を行う。これは厳密にいえば非対称ではないが、回転に関して対称でないという意味では、一つの非対称な確率モデルに対する研究といえる。なおFisher-Bingham分布、およびその特殊なケースとしてKent分布など、すでにいくつかの研究があるため、そのサーベイを最初に行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は、イギリスで開催される国際学会(Computational and Methodological Statistics)での発表を予定していたが、現地での開催は中止となったため旅費が不要となったことが大きな理由となる。また前述のとおりコロナウイルスによる学内業務が増えてしまったため、研究するための時間を確保できなかったこともその理由となる。現時点では、コロナウイルス終息後の国際学会での発表のための旅費に割り当てることを計画している。
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Research Products
(2 results)