2023 Fiscal Year Research-status Report
超球面およびシリンダー上の新たな統計モデルの開発およびその推定に関する研究
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19K11863
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
宮田 庸一 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10514250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 方向統計学 / 非対称性 / 識別可能性 / 多様体上の確率モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
シリンダー上の統計モデルとは、円周上の単位ベクトルの角度を表す確率変数と、非負値の値(もしくは実数値)をとる確率変数を組にした確率ベクトルの分布のことをいう。 円周側の周辺分布が非対称な形状にもなるシリンダー上の統計モデルとしては、Abe and Ley (2017, Econometrics and Statistics)の分布が知られている。 この分布は、簡単な正規化定数,容易な乱数生成法,陽に表すことができる三角モーメントを持つことが知られており、取り扱いが容易なものになっている。 その一方で、円周側の周辺分布がcircular skewnessの意味で非対称化できる度合いはそれほど大きくないことが知られている。 本研究を通じて、 Abe and Leyにより提案された分布を拡張することにより、簡単な正規化定数、容易な乱数生成法、陽に表すことができる三角モーメントを持つといった性質を保持しながら、上記の分布よりも大きな歪みを表現することができる分布の開発を行った。 またこれに加えて、この分布族のパラメーターに関して識別可能であることを明らかにした。 この研究成果は、Miyata, Shiohama and Abe.(2024, Symmetry)に掲載されている。 また、2023年12月に開催された国際学会(Computational and Methodological Statistics)では、上記の新たな統計モデルをコンポーネントに持つ隠れマルコフモデルを提案し、実際の風向風速データに対して、既存の統計モデルよりも優れたデータフィッティングを与えられることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の2つの理由により, 研究がやや遅れている状況にある: 1. 大学内外から依頼された業務に多くの時間を費やさざるをえなかったため、研究時間の確保が困難であった。 2. 投稿していた論文がリジェクトされてしまったため、リジェクトされたときに送られてきたレフリーコメントに従って、論文を修正するのに時間がとられてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた論文がリジェクトされてしまった理由としては、提案したモデルの良さ、すなわち、円周側の分布が大きな歪みを持っているようなシリンダー上のデータに対しても良いモデルフィッティングを与えられるということを示す実データ解析の例ではなかったことにある。 このため、提案したシリンダー上の統計モデルの妥当性を示すことができるデータを与えることが最重要課題となる。 またその一方で、シリンダー上の値をとるデータが、時間に依存して変化する時系列データであった場合のモデル化に関する論文の執筆も早急に行う。
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Causes of Carryover |
大学内外から依頼された業務に多くの時間を費やしてしまったために、論文の完成が遅れてしまい、その結果として、次年度使用額が生じてしまった。 次年度は、主に下記の2点に研究費を使用する予定である。 1. 現在までの進捗状況で述べた、修正している論文に対して、外部の英文校正サービスを利用するため、その料金として使用 2. 新たな論文を執筆するため、共同研究者との研究打ち合わせのための旅費として使用
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