2023 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of physical properties of mobile devices and posture during operation on user's cognitive activity
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19K12084
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松田 剛 関西大学, 社会学部, 准教授 (70422376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スマートフォン / ギャンブリング課題 / リスク判断 / 姿勢 / ベイズモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は統計学の専門家の協力を得て研究項目2「スマートフォン利用時の姿勢を変数とした心理実験」の実験データの再解析を実施した。本実験において参加者はスマートフォン用アイオワ・ギャンブリング課題(以下IGT)を前傾座位と後傾座位の2つの姿勢で実施した。IGTでは4つのカードデッキから1枚ずつ賞金または罰金が書かれたカードを引くことを繰り返し、最終的な獲得金額を最大化することが求められる。カードデッキにはハイリスク・ハイリターンなデッキ(Hデッキ)とローリスク・ローリターンなデッキ(Lデッキ)が存在するため、最終的なHデッキの選択回数からLデッキの選択回数を引いたNet Scoreをリスク判断傾向の指標とすることが多い。しかしNet Scoreの平均値を用いた分析では姿勢による違いは見られなかった。そこで改めてベイズモデルのBayesian Expectancy Valenceモデルを利用し、各参加者の1試行ごとのカードデッキの選択行動を用いて詳細な分析を実施した。その結果、損失に対する注意度を示すパラメータは前傾座位の方が後傾座位よりも大きくなることが明らかとなった。この結果はスマートフォンを利用する際に前傾姿勢の方が後傾姿勢よりもリスクに対する判断が厳しくなりやすいことを示している。 本研究課題の主目的は、スマートフォン利用時の姿勢によるリスク判断傾向の差異を検討することであった。まず600名を対象とした大規模調査によって、日常的なスマートフォン利用時の姿勢では前傾座位と後傾座位が最も多いことを明らかにした。そしてその後の心理実験によって、この2種類の姿勢においては前傾座位の方がリスクに対して慎重になる傾向があることを明らかにした。つまりギャンブル性の高い課金システムを採用したゲームで遊ぶ際には、前傾姿勢で遊んだ方が無用な課金を抑えることができる可能性が示唆された。
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