2021 Fiscal Year Research-status Report
日常生活データ(音・臭・振動)による高齢者の生活リズムのモデル化に関する研究
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19K12208
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
撫中 達司 東海大学, 情報通信学部, 教授 (00757594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 伸幸 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (30371363)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行動認識 / 行動モデル / 介護記録 / ニオイセンサ / オントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,老齢者の日常生活動作・活動(ADL)に含まれる食事,排せつ,入浴,掃除などを音,ニオイ,振動などのセンサーデータを活用して認識し,その行動をモデル化し,個人の生活リズムとして評価可能とすることで,短期(突発)・中期・長期的な観点で老齢者の状態を管理可能とし,①突然の事故(転倒),②状態変化に応じたケアプラン作成,③認知症の早期発見などの介護ケアに貢献することである. 本目的に対して,(1)介護記録における自立度自動評価アルゴリズム,(2)介護記録からのオントロジ生成,(3)居住者の行動認識(高齢者施設における居住者の行動が室内空気質に与える影響について,その成果を論文として発表済である。特に,(1)については,実際に3つの介護施設での介護行為の様子が記録されている介護記録を用いて,日常生活行動ADLの自立度自動評価アルゴリズムの検証を行い,自動評価率75%を達成している。また,この検証において,介護記録の分析を行う上では,そのデータ分析モデルとしてオントロジの生成が課題であることを示し,その試作も実施済である. (1)国際生活機能分類(ICF)を活用した介護記録による日常生活動作の自立度評価方法の提案とその評価,第41回医療情報学連合大会(第22回日本医療情報学会学術大会),医療情報学会,2021 (2)ベイジアンネットワークと行動生起確率による行動認識方法の提案とその評価,東海大学紀要,情報通信学部,Vol. 13 No1, 2020 (3)高齢者施設における人間の行動が室内空気質に与える影響,第29回環境化学討論会,2021
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)介護記録における自立度評価アルゴリズム: 介護士による自由記述で作成された介護記録を,自然言語処理によって自動的に自立度評価を行うアルゴリズムを試作し,実際に施設で記録されている介護記録を用いて,その有効性を評価した。その結果,カテゴリに依存性はあるものの,人手で評評した自立度と約75%の確率で合致することを確認し,本手法の有効性を示した. (2)介護記録からのオントロジ生成アルゴリズム: 近年介護施設では,被介護者のバイタルデータ(体温,心拍,発汗など)を収集し,リハビリテーションなどの介護プランへの有効活用を進めているが,介護記録と合わせて利用できるモデルとなっておらず,その活用が進んでいない。我々は,国際機能分類ICFに準拠する形で,介護記録からオントロジを生成し,このオントロジに被介護者それぞれのデータをプロパティとして定義し,オントロジを用いたデータ分析を行う方法を目指しており,介護記録からのオントロジ生成の試作を行うとともに,その課題を明らかとした. (3)人間の行動が室内空気中の化学成分や微生物濃度に与える影響: 室内における人間の行動が室内空気中の化学成分や微生物濃度に与える影響の解明を進めてきた.例えば,焼き料理に起因する多環芳香族炭化水素(PAHs;発がん性を有する)の生成量は,食材中の脂肪含有量と正の相関があり,食材中の脂肪含有量からPAHsの生成量を予測できることを明らかにした.また,室内空気中の微生物濃度と在室者の行動との関係についても研究を進めており,在室者の身体活動が活発なほど微生物濃度が高くなることや,換気により微生物濃度が低減できることなどを明らかにした.高齢者施設個室内において空気中の揮発性有機化合物(VOC)濃度を連続的に測定した結果,VOC濃度は入居者のおむつ替えの数時間前より上昇し,おむつ替え後に減少する傾向があることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
上記に示した成果の有効性検証については,試作したシステムを介護施設に試験導入し,介護記録を教師データとして,検出した行動の正当性を検証した上で,介護記録の裏付けとして活用し介護記録の充実化を図り,その有効性を実証する。
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Causes of Carryover |
最終年度である2021年度は,試作したアルゴリズムを使って実際の介護施設での実証実験を実施する予定であり,その為の機材(ノートPC,センサー,モニタ用カメラ等)を調達する予定としていたが,コロナ禍により施設での実施が叶わず,これら機材の調達ができなかった.また,成果については国内,海外での発表を予定していたが,これらについても開催がキャンセルされるなどにより予定していた出張がなくなったなどの理由による差額となっている.
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Research Products
(4 results)