2019 Fiscal Year Research-status Report
Knowledge-structure-reconstruction approach for knowledge-acquisition with knowledge-utilization-oriented videos
Project/Area Number |
19K12269
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 雄介 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70362019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 宗 広島大学, 工学研究科, 教授 (10238355)
重田 勝介 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (40451900)
長濱 澄 東京工業大学, 超スマート社会卓越教育院, 特任准教授 (50779270)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビデオ学習 / 概念マップ / 知識獲得 / 知識活用 / プロセス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
反転学習やMOOCsへの注目が示しているように,ビデオ教材の普及は,知識活用の準備としての個別学習による知識獲得を行いやすくした一方で,学習者の自立性が求められる.本研究では,教師が伝えたい知識の構造の学習者による再構成をベースとして,ビデオ学習における知識獲得のための具体的なタスクを設定し,知識活用の前提としての知識獲得の支援の実現を目指す.そして,ビデオ学習をガイドすると同時に,学習者の理解だけではなく,タスク遂行の観点から適応的な支援をし,有意義な学習体験を実現することを目指す. 本研究の目的は,キットビルド概念マップと呼ばれる知識構造の再構成手法を知識活用の準備としてのビデオ学習による知識獲得の支援として位置づけ,その効果を検証することである.この特徴は,学習者が教授者の想定している知識構想を再構成することであるが,教授者の知識構造を盲目的に受容するのではなく,学習者がそれを明らかにした上で,自分の知識構造にどう取り込むかを考えれるようにすることを目指すことである.再構成は教授者の構造をベースとするので,教授者の構造と学習者が再構成した構造を比較して認識が違う部分を容易に明示化できる.また,再構成プロセスの記録から,学習者がビデオをどう解釈したかを再構成の結果だけではなく,プロセスからも分析し,振り返りを促すことができる.これは,従来の選択式や記述式のテストなどでなどでは測定できないことであり,理解の統括的評価および形成的評価の両面で大きな効果が期待される. 2019年度は,ビデオ教材を利用した知識獲得プロセスのモデルをデザインし,具体的なビデオ教材に対応した概念マップの作成,その再構成タスクの有効性の確認のための大学講義での利用を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の実施計画は以下の3つの項目である (a)キットビルド概念マップを拡張した知識構造の再構成タスクの設計(H31年度):ビデオ教材を利用した知識獲得プロセスのモデルをデザインし,知識構造の再構成タスクとして具体化する. (b)知識構造再構成タスクと連携したビデオ学習支援システムの構築(H31,32年度):課題aで設計した種々のタスクをビデオ教材と連携させて実行でき,課題dでの学習活動の分析のためのデータ収集ができる学習環境を設計・開発する.ここでの主な課題はシステムの実装であり,課題bで設計した種々のタスクを研究代表者(林)と研究分担者(平嶋)およびその研究室の学生でキットビルド概念マップシステムの拡張としての実装,課題dで再構成の結果だけではなくプロセスを分析できるようなログデータ収集機能の実装を行う. (c)知識構造と連携したビデオ教材の作成(H31,32年度):従来のビデオ教材の作成とは異なり,教授者が学習者に伝えたい知識構造を概念マップとして明示化してからビデオ教材を作成し,概念マップとビデオを対応付けることで,課題bで開発したシステムで運用可能な形でビデオ教材を作成する.研究分担者(重田)は,これまでにMOOCのためのビデオ教材の作成実績があり,その知見を活かす. 2019年度は,ビデオ教材を利用した知識獲得プロセスのモデルとして具体的なビデオ教材と対応づけた概念マップの再構成タスクをデザインすることで課題aとcを実施し,概念マップ再構成のログデータを収集する機能を設計して課題bの実施を行った.実際に大学講義での利用で得られたデータを分析し,再構成の傾向や記述式問題との相関が見られることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は主に以下の二つの課題に取り組む (b)知識構造再構成タスクと連携したビデオ学習支援システムの構築(H31,32年度):課題bで設計した種々のタスクをビデオ教材と連携させて実行でき,課題dでの学習活動の分析のためのデータ収集ができる学習環境を設計・開発する.ここでの主な課題はシステムの実装であり,課題bで設計した種々のタスクを研究代表者(林)と研究分担者(平嶋)およびその研究室の学生でキットビルド概念マップシステムの拡張としての実装,課題dで再構成の結果だけではなくプロセスを分析できるようなログデータ収集機能の実装を行う. (d)知識構造再構成タスクと連携したビデオ学習の分析と評価(H32,33年度):本研究で提案するビデオ学習支援システムでの学習のプロセスと結果の分析から,提案システムでの知識獲得の実行可能性と知識獲得効果を検証する.実施可能性については,プロセスデータでの客観的評価やアンケートなどでの主観的評価から,本研究で設定する知識獲得プロセスを学習者が実行できるか,意味があるものとして受け入れられるかを検証する.知識獲得効果については,ビデオ学習支援システム外でのテストなど知識構造の再構築課題とは別の課題によって理解度を測定し,提案手法の利用前後の比較から効果を検証する. 課題bについては,システム上でのビデオとの連携機能を開発し,振り返り支援やフィードバックに利用できるようにする.課題dについては,現在は再構成ログを取得できるようになっており,基本的なデータは得られている.この再構成のログデータと一般的に理解把握のために行われている記述式テストの結果をベイジアンネットワークなどの確率的モデルを利用して,関係性を分析することを検討している.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により.3月に予定していた研究打ち合わせのための出張が実施できなくなり,次年度使用額が生じた.この分の研究打ち合わせについては,次年度に新型コロナウィルスの影響が収まってから実施することとする.
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