2021 Fiscal Year Research-status Report
外部社会との急速な接続に伴うラオス北部山地部農村の複合生業の機能動態
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19K12474
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
廣田 勲 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50572814)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生業の多様化 / 生業動態 / 東南アジア大陸部 / 焼畑農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東南アジア大陸山地部で急速に進む交通網整備やグローバル化による、山村の生業への影響を明らかにすることを目的としている。 2021年度についても2020年度と同様、新型コロナウィルスの影響に見舞われ、現地調査を全く実施できなかった。その一方で文献調査を実施し、一定の成果を上げることができた。特に、前年度から引き続き取り組んできた、150年ほど前の仏領インドシナ期の自然環境、農業、資源などの記述について幅広く文献をあたり成果をまとめることができた。また、近年の急速なグローバル化に伴った生業変化についても論文のレビューを行い、成果としてまとめた。またコロナ前に実施していた調査の成果をまとめた論文も現在投稿中であり、本年度は現地調査ができない中でも成果をまとめることに重点を置いた。 これまでの研究活動により、急速なグローバル化による生業動態や住民の生業戦略が明らかとなってきた。特に、生業の多様化について、文献調査からは主に2つの多様化、すなわち追いやられた多様化(distress diversification)と前進的な多様化(progressive diversification)が理論的に示されてきたが、事例研究によって、この動態がより詳細に明らかになりつつある。現地調査から、多様な林産物を採取する等の、数多くの低収入の労働に従事している「追いやられた多様化」の状態にある地域において、経済状態が向上する際の最も初期の段階において、多様な自然資源からの収入が寄与し、またその際に一時的にではあるが生業の多様度の減少もみられることがわかった。また、東南アジア大陸山地部では、自然資源の多様性を生かした形で生業の多様化と単純化を繰り返しながら経済発展するという持続的な発展経路の可能性があるのではないかとも考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査を行えなかったという意味ではやや遅れていると思われるが、コロナという制限された状況を鑑み、また、学会発表、学術論文、書籍、という形で比較的多く成果を出すことができたことから、おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
徐々に海外渡航の可能性が出てきていることから、今年度は状況を見ながらコロナ前に予定していた調査を、コロナの影響に留意しつつ実施したい。またこれまで現地調査を実施していなかったことも踏まえ、計画の延長を予定している。すでに成果をある程度発表しているが、追加の調査によって更なる成果も期待できる。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナにより海外渡航ができなかった。一方で、海外渡航ができる可能性が出てきており、本助成金を利用して本来行う予定であった調査を実施したい。
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