2021 Fiscal Year Research-status Report
韓国済州特別自治道における住民自治制度と住民の主体形成に関する研究
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19K12479
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金子 満 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (10513161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 韓国済州特別自治道 / 住民自治 / 住民自治センター / 住民自治学校 / 主体形成 / 住民自治委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前、新型コロナを背景に本学の方針により海外への渡航が厳しく制限を受けているため、昨年に引き続き、現地での調査は断念せざるをえなかった。そこで、調査対象地である韓国済州特別自治道の行政並びに、調査対象の一つである住民自治組織「一徒2洞住民自治委員会」とメールやWEB等の通信手段を活用し、アンケートおよびヒアリング調査、さらには、資料の翻訳作業を行い、一定の調査データを得ることができた。そのデータをもとに「九州教育学会第73回大会」にて「韓国済州特別自治道における住民自治活動に関する研究」というタイトルで発表した。 明らかにした内容は以下のとおりである。①新型コロナ禍における住民自治活動の現状について、感染症対策を中心とした学習及び活動の内実について明らかにした。②一徒2洞で住民自治委員となった委員を対象に、いい就任までの経緯や実際の活動、活動への課題等についてヒアリングを行った。③住民自治学校制度の現状と課題および、一徒2洞の住民自治学校のカリキュラムの内容や成果、問題点等について同自治組織が発行する機関誌の情報を中心に分析を行った。その結果、住民自治委員会メンバーの高齢化問題や、世代間の確執、委員就任の必須条件とされている住民自治学校のカリキュラムのマンネリ化・形骸化、さらには、委員就任者は、経済的な余裕を必要としている点などを明らかにした。またこれまでの調査活動の蓄積をまとめ、九州教育学会紀要に論文「韓国済州特別自治道における住民の主体形成に関する研究」を投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年に引き続き、今年度も新型コロナ禍の影響により、研究対象国である韓国に渡航が禁止されたことにより、今年度の上半期は調査及び研究活動が全くできなかった。その打開策として昨年、直接、メール等にてリモート等を活用したヒアリング要請を行ったが、断られた経験を踏まえ、今年は、本学の留学生に協力をもらい、アポイントを取ってもらうことでようやくリモートによるヒアリング調査を行うことができた。しかし、研究対象である住民自治委員会や住民自治学校の内実に対する分析や、当事者に対するヒアリング等はできなかったため、本来の研究計画通りとはとてもいいがたい状態である。今年研究の延長申請を行い、受理されたため、新型コロナの状況をしっかり把握しつつ、最終年度として研究をまとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象が海外の韓国であり、韓国の代表的な観光地でもあるため、研究活動や成果に新型コロナの状況が大きく影響することは間違いない。現在、世界的にも条件が緩和される可能性があるため、しっかりと情報収集を行い、可能な限り、海外渡航を前提とした、調査活動を計画する予定である。その際、新型コロナの状況により再び海外渡航が難しくなることも想定し、下半期に入った段階で、完全リモートおよびメールやWEB等を使った調査活動を綿密に計画し、実施することで可能な限り研究の目的および成果に近づけていくつもりである。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍の影響で、海外渡航および現地での調査活動ができなかったため、予算を執行できなかった。使用計画として、本研究の延長申請が受理されたため、今年度は、新型コロナの状況を踏まえつつ、従来の予定通り、海外渡航および現調査を行う計画とする。また、新型コロナ禍の影響により、今年度も海外渡航および現地調査ができない場合、オンラインの活用や資料の翻訳等にて研究を進めていく方向で考える。
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