2022 Fiscal Year Annual Research Report
韓国の知日派知識人をめぐるオーラルヒストリーを基礎とした学際的研究
Project/Area Number |
19K12508
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小針 進 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40295548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 陽 帝京大学, 文学部, 教授 (70389857)
小倉 紀蔵 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80287036)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 日韓関係 / 知日派 / 日本文化論 / 韓国文化 / オーラルスヒストリー / 李御寧 / 韓国社会 / 縮み志向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1.前年度末に亡くなったオーラルスヒストリーの話者である李御寧・韓国初代文化部長官の証言記録の草稿チェック作業、2.同草稿に関する李御寧氏のご遺族への確認・校閲要請とそれにかかわる校正作業、3.上記1と2を受けての報告書発行作業、4.報告書の出版化に向けた交渉作業、5.過年度に行った康仁徳・元韓国統一部長官のオーラルヒストリー記録(報告書)の出版化に向けた校閲作業-以上5点を、研究分担者、研究協力者と共に取り組んだ。 特に、上記1から3の作業の成果物して、『李御寧(大韓民国初代文化部長官)オーラルヒストリー記録』(340頁分)を冊子化した。 著名な学者でもある李御寧氏の文化部長官としての在任期間は、1990年1月から91年12月までであり、その職務について語って頂いたが、それだけではなく、1933年の出生からの少年時代の出来事、ソウル大在学中からの文芸評論活動、主要紙の論説委員や批評家としての執筆活動、梨花女子大教授としての研究・教育活動など、韓国を代表する知識人となった自身の歩みと、それと重なる韓国社会や文化についての見方を中心に語ってもらい、その記録化を終えたことになる。 韓国の知性社会にとって、「李御寧」の存在が大きいものであったことがわかる語りが多い。1988年のソウル五輪の開会式を演出した話などがら、それは伺える。『「縮み」志向の日本人』の著者としても知られるように、「反日」でも「克日」でもない日本文化論からは、日本の学問に接して、日本文化に精通する知日派知識人の存在も浮き彫りにさせた。これまで知られていない話も多く、貴重な記録となったと自負している。 近い将来、上記4を引き続き進めて、遺族の了解を得たのちに、報告書を出版化して公開すれば、朝鮮半島の地域研究だけでなく、日本文化論や日韓関係史研究へも貢献することになる。
|