2019 Fiscal Year Research-status Report
道の駅を拠点とした観光振興モデルの構築と経済効果に関する研究
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19K12563
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
麻生 憲一 立教大学, 観光学部, 教授 (90248633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 康英 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10275349)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域振興 / 地域特産物 / 地域センター型産業振興 / 観光消費 / 全国モデル「道の駅」 / 特定テーマ型モデル「道の駅」 / 防災拠点 / 観光情報発信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全国で利用者数の多い「道の駅」を選定し、防災拠点としての施設整備の状況と販売される店舗商品から運営と取組の全体像を把握することを目的としている。初年度(2019年度)は、「道の駅」の現地調査を中心に研究を実施した。現地調査先を地域で区分すると、北海道(札幌から稚内ルート)24駅、東北(青森、秋田)20駅、関東(埼玉)7駅、北陸(石川、富山、福井)50駅、中部(岐阜)13駅、関西(奈良、兵庫)10駅、中国(岡山、鳥取、広島)25駅、四国(香川、愛媛)7駅の合計156駅である。2019年度は、設置数の多い北海道とこれまで調査数の少なかった北陸地方、中国地方を中心に視察を行った。研究計画としては、申請通りに事前研究、現地調査、事後研究に沿って進めてきた。事前研究では、現地調査地の「道の駅」の資料収集とデータ整理、視察先の担当者との連絡体制を構築した。現地調査では、「道の駅」の利用実態の状況、防災施設の整備状況、商品の取扱状況、地域振興の取組状況を中心に視察を行った。特に地域振興の重要拠点となっている全国モデル「道の駅」の「内子フレッシュパークからり」と特定テーマ型モデル「道の駅」の「小豆島オリーブ公園」では、各駅長よりそれぞれの地域拠点としての取組内容の聞き取りを行った。事後研究では、各地域の「道の駅」の視察で取得した資料やデータなどを整理し、その成果を日本観光学会の中部支部会において発表を行った。研究スケジュールとしては2019年4月から6月に事前研究、8月、9月、翌年2020年2月、3月に現地調査、そして2019年10月から翌年2020年3月までの期間を事後研究に充てた。2019年度は初年度でもあり、論文、学会報告・研究会報告等は少ないが、全国156個所の「道の駅」を視察できた意義は大きい。今後、視察内容を精査し、その結果を学会報告や論文などに纏めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、「道の駅」設置数の多い北海道や地域振興に力を入れている北陸、中四国の地域を中心に視察を行い、活動拠点としての「道の駅」の実態を把握することに重点を置いた。まず、北海道の「道の駅」24駅(夕張メロード、あさひかわ、わっかない他)を視察し、関連資料などを収集し、利用実態の確認を行った。また、過疎化が進む地域である鳥取県の「道の駅」3駅(にちなん日野川の郷、奥大山他)、秋田県の「道の駅」13駅(あきた港、おが、ひない他)、青森県の「道の駅」7駅(ひろさき、虹の湖、つるた他)を視察し、関連資料を収集のうえ、地域拠点としての実態を視察した。同時に、全国モデル「道の駅」である「内子フレッシュパークからり」の駅長と特定テーマ型モデル「道の駅」の「小豆島オリーブ公園」の駅長に、地域拠点としての取組内容について聞き取りを行った。その他、関東、北陸、中部、中国、四国の主要な「道の駅」を視察することができた。その意味で、2019年度の研究目的の大半は達成できたものと考える。ただし、当初計画にあった栃木県や群馬県については視察調査が実施できていないが、2020年度中に視察を予定している。なお、今回の研究成果については、データが整備でき次第、順次、研究会、学会などで報告を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、2019年度と同様に、事前研究、現地調査、事後研究に沿って研究を進めていく。事前研究では、視察先との事前調整を行い、関連資料などを収集、整理したうえで、視察対象の「道の駅」を絞り込む。現地調査では、2019年度に視察を実施できなかった栃木県、群馬県の視察を実施する。また、東北地方や九州(熊本県、長崎県など)の「道の駅」の防災施設の現状を視察する予定である。その他、2019年度に引き続き北海道の「道の駅」の視察も予定している。事後研究では、視察で得られた数値データや聞き取り調査の内容を精査し、定量・定性データの仕分けと視察先の地域特性の取り纏めを行い、それらの分析結果を、学会発表を通じて精緻化していく。そして、地域振興の拠点として「道の駅」の現状を構造化し、効果的に推し進めていくための総合的・包括的な仕組みを提示する。なお、周知のように、現在、新型コロナウィルスの感染予防のため、外出が自粛されているが、このような状況が2020年9月以降も続く場合は、視察先を縮小し、2019年度までに取得した資料等の整理、データの分析を行い、論文作成に時間を充てる。同時に、2021年度の視察に向けて準備を行う。なお、本研究調査は、2021年度の前半に全国の「道の駅」に対して質問紙によるアンケート調査を実施する予定であり、そのための準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度の支出額については、代表者と分担者とも所属大学での研究費予算の執行を優先したため未使用額が生じた。また、分担者は当初予定していた「道の駅」視察を行えず、未使用額が発生している。 2020年度は北海道、東北、九州、関東圏域の「道の駅」の視察を行う予定であり、旅費等に支出する予定である。
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