2021 Fiscal Year Research-status Report
道の駅を拠点とした観光振興モデルの構築と経済効果に関する研究
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19K12563
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
麻生 憲一 帝京大学, 経済学部, 教授 (90248633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 康英 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10275349)
二替 大輔 奈良県立大学, 地域創造学部, 研究員 (60874170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 防災拠点 / 防災道の駅 / コミュニティビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「道の駅」の設置が「ゲートウエイ」や「地域センター」としての機能を有し、コミュニティビジネスの地域拠点としての役割の実施状況を検証するとともに、自然災害に対する「道の駅」の施設活用の状況や課題、危機管理に対応した「道の駅」の運用システムの現状を検証し、「道の駅」の新たな活用法を明らかにすることである。 2021年度は、昨年度と同様に「道の駅」の現地視察を中心に現場動向を調査した。調査対象地域では、岩手県(27駅)、山梨県(14駅)、岐阜県(30駅)、富山県(4駅)、石川県(3駅)、福井県(3駅)、三重県(16駅)、奈良県(1駅)、京都府(4駅)、兵庫県(3駅)、和歌山県(7駅)、佐賀県(1駅)、長崎件(1駅)、福岡県(1駅)の1府13県で合計115駅を視察した。 2021年度はこれまで調査件数の少なかった岩手県、三重県の「道の駅」を中心に視察した。また、「道の駅」設置件数が全国第2位である岐阜県については昨年度に引き続き北部を中心に視察を行った。2021年度もコロナ禍による三密の影響を避けるため駅長への対面での取材は自粛した。岩手県内の「道の駅」27駅について、防災拠点としての施設整備の現状を視察した。また岐阜県では、南部と北部の「道の駅」利用実態の差異を確認した。その他の「道の駅」では、地域特産物の販売エリアの地域的特徴を把握した。 なお、本研究は、事前研究、事後研究、現地調査から構成される。事前研究では、「道の駅」に関する論文・資料を精査し、現地調査を行った「道の駅」のデータを整理したうえで、データベースを構築した。事後研究では、新たに追加した「道の駅」のデータを精査し、統計分析を行った。そして、それらの成果を学会や研究会等で報告した。研究スケジュールとしては、9月、10月、11月、12月、2022年3月に現地調査、そして、その前後の期間で事前・事後研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、全国の「道の駅」の防災やコミュニティビジネスの地域拠点として現状や課題、地域での役割を明らかにすることであり、現地調査が重要な意味をもつ。しかし、2021年度は、昨年度に続き新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため緊急事態措置が発出され、不要不急の外出自粛が求められており、前半は現地調査を実施することができなかった。また、4月に研究代表者の所属大学の異動により研究時間が制約された。 9月以降、現地調査を開始したが、三密の状況を避けるために現地での駅長等への対面での取材は自粛した。まず、9月にこれまで調査が不十分であった岩手県内の「道の駅」27駅を訪問し、防災拠点としての現状や課題、地域拠点の役割に焦点をあて視察を行った。特に震災被害の大きかった「高田松原」では、その後の復興の現状を確認することができた。また、宮古市の重点道の駅「たろう」では、直産・交流施設を視察し、地域拠点の現状を把握した。11月には、岐阜県内の過疎化が進む県北の「道の駅」30駅を訪問し、地域振興の拠点としての実態を視察した。その他、中部、関西、九州の主要な「道の駅」の視察を行い、地域特産物などの出荷状況を確認した。後半では、これらの視察で収集した資料やデータを整理し、統計分析を行い学会、研究会で報告を行った。なお、2021年度は分担者を1名追加し、「道の駅」の実証分析のみならず理論構築を行った。研究成果としては、論文2本、研究ノート1本、その他1本を執筆し、研究報告では学会報告1件、研究会報告3件であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2021年度を最終年度としていたが、研究計画の積み残しがあるため1年間延長することとした。2022年度の研究の推進方策としては、これまでと同様に、事前研究、現地調査、事後研究に沿って研究を進めていく。 事前研究では、これまで調査してきた「道の駅」の取材データや資料を精査し、整理したうえで、データベース化を進めていく。また、今後の調査対象地域を絞り込んでいく。2021年6月国土交通省では、広域的な防災拠点の位置づけとして「防災道の駅」39駅を初めて選定した。当初の研究計画にはない「道の駅」であり、本研究のテーマである「防災拠点」としても重要な「道の駅」であるため、2022年度は、「防災道の駅」を中心に現地調査を実施する。調査対象地域として、これまで十分な調査が実施できていない関東(茨城県・栃木県)、関西(兵庫県・滋賀県・和歌山県)、四国(徳島県・香川県・愛媛県)のエリアを対象に「防災道の駅」の視察を実施する。今回は、駅長への取材も取り入れていく予定である。事後研究では、前年までと同様、現地調査で得られたデータや取材内容を精査し、定量・定性データに置き換え、地域特性を分析したうえで、学会発表などを通じて精緻化を行う予定である。そして、地域振興や防災拠点として「道の駅」を効果的に活用するための指針を提示する。 2021年度から、分担者を1名追加して3名体制で本研究を実施している。2022年度は実証分析だけでなく理論分析も取り入れていく予定である。なお、本研究で得られた成果は、今後学会や研究会等で報告し、著書として出版することになっている。
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Causes of Carryover |
2021年度の支出額については、所属大学での研究費予算の執行を優先したため未使用額が生じた。また、分担者は当初予定していた「道の駅」視察を行えず、未使用額が発生している。2022年度は関東、関西、四国等のエリアを対象に「防災道の駅」の視察を行う予定であり、旅費等に支出を予定している。また、「道の駅」のアンケート調査も一部地域で行う予定であり、その他経費として支出する予定である。
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