2019 Fiscal Year Research-status Report
Hospitality management in Japanese inns that have inbound tourists satisfied
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19K12570
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
森下 俊一郎 九州産業大学, 地域共創学部, 准教授 (10735228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インバウンド訪日外国人観光客 / サービスマネジメント / おもてなし / 宿泊業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、急増するインバウンド訪日外国人観光客に関して、(1)外国人客に人気の旅館の従業員は、どのようなおもてなしをしているのか、(2)外国人客の口コミから見いだされるおもてなしの満足や不満足の要因は何か、といったリサーチクエスチョン(研究課題)を学術的に解明することにより、(3)旅館は外国人客に満足してもらうおもてなしをするために、どのようなマネジメントをすべきか、について実務的な指針を提示することである。このような外国人客へのおもてなしのあり方とそのマネジメントについて解明すべく、3年間の研究期間で、(1)文献レビュー、(2)口コミデータ分析、(3)現地調査、(4)アクションリサーチ、といったフェーズごとに研究を進める計画をたてた。2019年度(1年目) は、主に(1)文献レビューによるfeasibility study(予備調査)を行った。この文献レビューでは、外国人のおもてなしのあり方、サービスやホスピタリティとの違いを明らかにし、外国人宿泊客に定評のある旅館やホテルなど26軒の事例を対象に、その外国人の受け入れ対応などについて、観光学、サービス経営やホテル経営、異文化コミュニケーションなどの分野の広範な文献・調査資料を通じて、わが国での外国人宿泊客に対するおもてなしについて整理した。さらに、特に外国人宿泊客に人気のある「山城屋」、「澤の屋」、「富士箱根ゲストハウス」「サクラホステル」の4軒については詳細な事例研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我が国の宿泊業において、文化や慣習の異なる訪日外国人観光客へどのようにおもてなしやサービスを提供し、満足してもらえるか、といった本研究課題を解明するため、まず、訪日外国人宿泊から高い評価を得ている26軒の旅館やホテルの事例を概観し,その特徴を導出した.その結果、1)多言語対応、2)部屋、3)共用スペースの充実、4)他者との交流、5)日本体験イベント、6)食事、などの工夫が、訪日外国人宿泊客への対応などが特徴として観察できた。これらの特徴を、ハードとソフト、および、グローバルと日本ローカルの2軸の視点から、訪日外国人宿泊客への対応策として整理した。これらの成果を2019年12月1日に長岡技術科学大学で開催された「第10回横幹連合コンファレンス」にて報告「宿泊業におけるインバウンド訪日外国人観光客のためのおもてなしのマネジメント」し、さらに論文「宿泊業における訪日外国人観光客のためのサービスマネジメント-訪日外国人宿泊客から評価されるホテル・旅館の実践事例の分析によるその特徴の導出と考察-」(九州産業大学『地域共創学会誌』,4)にまとめた。さらに、その中でも特に訪日外国人観光客に人気のある「山城屋」、「澤の屋」、「サクラホステル」、「富士箱根ゲストハウス」について事例分析を行った結果、共用スペースとICTの充実による多言語化対応のグローバル化により、不満足を低減し、同じ宿泊客や地元の日本人との交流の促進,日本の体験イベント,和風の施設や家族的なおもてなしで満足を高めていることを見出した。その成果を2020年2月29日に別府大学で開催された「2020年第1回日本経営診断学会九州部会」にて報告「宿泊業における外国人観光客のためのサービスとそのマネジメント」し、現在は論文にまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
急増するインバウンド訪日観光客に対するおもてなしをどのようにマネジメントするか、といった研究課題を解明するため、2020年度(2年目)は、研究フェーズ(2)現地調査による外国人に人気の旅館のおもてなしとそのマネジメントの実態把握、即ち、外国人に人気の旅館や温泉地のランキングを参考に、現地でのインタビューやフィールド調査を中心に行う。外国人観光客に人気の旅館を幾つか選択し、その旅館が外国人客へどのようなおもてなしを提供しているかを現地で観察するとともに、その背後にあるマネジメント上の背景や要因を聞き出す。調査対象は、(a)外国人と日本人両者に人気のある地域の旅館、(b)外国人に人気だが日本人には人気のない旅館、を中心に合計で10軒程度調査する計画である。これらの結果と、これまでに科研基盤研究C「観光産業におけるサービスビジネスとしての「おもてなし」の経営分析」(16K02096)で行った日本人客に人気の旅館との比較により、その違いを見出す。さらに、次のステップとして、(3)アンケート調査のデータ分析による外国人が満足するおもてなしの要因の導出にも着手する。先述の研究フェーズ(2)の成果として、外国人宿泊客に人気の旅館の特徴や要件が導出されているはずである。これらの特徴(要件)が、定量的に実証できるか検証するために、アンケート調査を行う。アンケート調査は、大手旅行サイトに掲載されている旅館やホテルを中心にデータを収集し、統計分析を行う。その結果と、2018年度までに行ってきた科研基盤研究Cの分析結果との比較により、多方面から結果の考察を行う。
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Causes of Carryover |
2020年春休み(2,3月)に計画していた現地調査が新型コロナウィルスの影響でいけなかった。新型コロナウィルスの状況が落ち着き次第、現地調査を再開する予定。
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