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2019 Fiscal Year Research-status Report

複合現実体験としての聖地巡礼:ルルドをはじめとする19世紀西欧における虚実の融合

Research Project

Project/Area Number 19K12588
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

石橋 正孝  立教大学, 観光学部, 准教授 (70725811)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 羽生 敦子  白百合女子大学, 言語・文学研究センター, 研究員 (90744780)
平賀 美奈子 (河野美奈子)  立教大学, 外国語教育研究センター, 教育講師 (20795570)
舛谷 鋭  立教大学, 観光学部, 教授 (90277806)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords観光 / 聖地巡礼 / 聖母出現 / ゲニウス・ロキ / モデル作者 / コンテンツツーリズム
Outline of Annual Research Achievements

19世紀から20世紀にかけ、ヨーロッパで相次いだ聖母マリアの出現事例の中にあって、他を圧する大衆的支持を得てカトリック有数の聖地と称されるに至ったフランスのルルドを取り上げ、その成功の要因が「観光」にあった事実を実証することを本研究は目指している。これは、シャーロック・ホームズに代表される「キャラクター」をめぐってファンが行う「聖地巡礼」を対象にして研究代表者がかねてより進めてきた研究を発展させるものであり、キリスト教の制度的弱体化および大衆消費者の登場を背景とした虚実融合現象、そして、それを元に成立した特殊な共同体として「観光」を再定義するとともに、聖母出現と「聖地巡礼」に心霊主義を加えた三例に共通のメカニズムがあることを明らかにすることである。本年度は、その準備段階として、近代文学の受容をテクスト論・文学散歩・聖地巡礼の三通りに分類、それぞれの関係を模式化する理論構築の作業を行い、別記の学会講演「地霊(ゲニウス・ロキ)としてのシャーロック・ホームズ」において、この理論が観光研究に応用可能であることを明らかにした。建築の文脈で用いられてきた「ゲニウス・ロキ」という概念は、土地という作品の「モデル作者」であり、ルルドでは聖母マリアがそれに、マリアを目撃したベルナデットは「作者」、それも作品を支配できない「弱い作者」に、ルルド受容は「聖地巡礼」に相当する。また、次年度以降の本調査に先立ち、研究分担者の羽生敦子および河野美奈子とともに、8月の聖母被昇天祭前後にルルドに赴き、現地巡検および簡易アンケートを行った。羽生および河野がこの調査に基づき、別記の学会発表を行い、論文を執筆した。また、ルルドの洞窟を模して土地の力の「写し/移し」(鈴木博之)を試みる現象の実態を調査すべく、上記2名とともに五島列島および長崎を3月に訪れた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

近代文学の受容のあり方を、舞台や執筆場所といった土地との関係に着目することにより、互いに対立関係にある三類型に整理できること、さらに、土地を集団制作による「作品」として捉え直せば、観光研究にそのまま適用可能であることを示したのは、本研究にとって重要な進展であった。ルルドおよびそのほかの聖母出現地で行う本格的なアンケート調査の基礎が構築しえたと考える。また、ほかの聖地と異なり、ルルドが特権的に「写し/移し」の対象となっているのはなぜか、という視点を新たに獲得したことは、今後の本調査にとって大きな意義を持つ。研究代表者と研究分担者が合わせて六回の発表を行った一方で、論文が一本に留まったものの、次年度以降に論文化を順次進めていく予定である。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画では、令和2年度は、ルルドをはじめとして複数の聖母出現地を訪れ、本格的なアンケート調査を実施するとともに、それらの比較を行う予定になっている。とはいえ、新型コロナウィルス感染症の世界的流行が終熄する見込みが立っておらず、夏に予定している調査が行えない可能性もある。その場合には、文献調査を進めるとともに、アンケート用紙の作成に充分な時間をかけ、最終年度に開催予定のシンポジウムに向けて、オンライン会議システム等も活用しつつ、関心を共有する国内外の研究者とのコンタクトを図りたい。

Causes of Carryover

フランスのルルドで予備調査を行ったのは、もっとも巡礼者が多い聖母被昇天祭前後であり、聖地の状況を視察するには最適の時期であったとはいえ、宗教的行為の妨げになるアンケート調査を行うには条件が悪く、予備調査として必要な最低限の数しか回答を得られなかった。そのため、データ整理の人件費等が不要となり、そのために計上した10万円が未使用となった。これに伴い、PC等の機材のために計上した16万円ほどと併せて、令和2年度に繰り越すこととした。逆に、旅費は7万円ほど予算を超過した。令和2年度は、この繰り越し分を予定されていた用途(PC、カメラ等)に用いるほか、オンラインによる国内外の研究者や調査対象者との面談のため、ルーターほかの機材を新たに購入する。夏に予定していた調査旅行は、時期にこだわらず、年度内に実施予定であるが、コロナウィルス感染症流行の影響が長引くと判断される場合には、オンライン環境をより整備するための機材購入(iPad proなど)に当てる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) Presentation (6 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 巡礼地から観光巡礼地に至る変遷の一過程について:ルルドを事例として2020

    • Author(s)
      羽生敦子
    • Journal Title

      言語・文学研究論集

      Volume: 20号 Pages: 37-55

  • [Presentation] 観光巡礼地ルルドについて2019

    • Author(s)
      羽生敦子
    • Organizer
      第21回総合社会科学学会
  • [Presentation] 地霊(ゲニウス・ロキ)としてのシャーロック・ホームズ2019

    • Author(s)
      石橋正孝
    • Organizer
      第7回コンテンツツーリズム学会論文発表会
    • Invited
  • [Presentation] コンテンツ・ツーリズムとしてのルルド巡礼の一考察2019

    • Author(s)
      羽生敦子
    • Organizer
      第34回日本観光研究学会全国大会
  • [Presentation] 聖ベルナデットを超えて拡散する「ルルド」2019

    • Author(s)
      羽生敦子
    • Organizer
      第34回日本観光研究学会全国大会
  • [Presentation] 想像のまちヌヴェール:ベルナデット とデュラスの『ヒロシマ・モナムール』を通して2019

    • Author(s)
      河野美奈子
    • Organizer
      第34回日本観光研究学会全国大会
  • [Presentation] シャーロック・ホームズというコンテンツツーリズム2019

    • Author(s)
      石橋正孝
    • Organizer
      第34回日本観光研究学会全国大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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