2019 Fiscal Year Research-status Report
気候変動によるビーチの浸食が利用者の厚生と地域経済に与える影響の評価
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19K12596
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
柘植 隆宏 甲南大学, 経済学部, 教授 (70363778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 気候変動 / ビーチ / 観光行動 / 厚生 / 地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの人が訪れるビーチは、地域経済を支える観光資源として重要な役割を果たしている。しかし、気候変動がもたらす海面上昇等により、世界各地でその侵食が問題となっている。ビーチが侵食されることで、利用者の厚生の低下や、利用者数の減少による地域経済への影響が発生することが危惧されている。そこで、本研究では、米国ハワイ州ワイキキビーチを事例として、独自のアンケート調査と計量経済分析により、ビーチの侵食が利用者の厚生と地域経済に及ぼす影響を定量的に評価する。 令和元年度には、はじめに、気候変動によるビーチの浸食、ビーチの経済価値評価、ビーチレクリエーション行動の経済分析等に関する先行研究のレビューを行った。次に、先行研究のレビューの結果を踏まえて、アンケート調査で使用する調査票を作成した。そして、その調査票を用いて、ハワイ州オアフ島のビーチにて378人を対象としたアンケート調査を実施した。アンケートでは「ビーチの幅」、「水中での可視度(水の透明さ)」、「旅行費用の変化」の3つを属性とした選択実験の質問を行った。選択実験の回答データを用いて条件付きロジットモデルとランダムパラメータロジットモデルにて推定を行った結果、ビーチの幅と水の透明さに対する限界支払意思額を推定することができた。これにより、ビーチの環境改善の便益を評価することや、ビーチの環境改善による旅行者の訪問行動の変化を予測することなどが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに調査を実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に2度目のアンケート調査を実施する予定であったが、COVID-19の影響でハワイにおいて観光客を対象としたアンケート調査を実施するのは困難な状況であることから、潜在的な観光客を対象としたインターネットによるアンケート調査などへの変更を検討する。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の人件費等が予定よりも安く済んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額はアンケート調査に使用する予定である。
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