2023 Fiscal Year Annual Research Report
聖地研究 甲子園ー聖地の生成と象徴性再生産プロセスに対する住民評価の研究
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19K12597
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
森田 雅子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40249503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 智子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 教授 (10223968)
三宅 正弘 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50335783)
大井 佐和乃 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (60779221) [Withdrawn]
加登 遼 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 助教 (50849396) [Withdrawn]
松山 聖央 武庫川女子大学, 生活美学研究所, 嘱託助手 (10885205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 甲子園 / 聖地 / 記憶 / 感興 / 共創 / 物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲子園―聖地の生成と象徴性再生産プロセスに対する住民評価の研究を行い、 阪神甲子園球場を中心とした地域の景観と興趣について2019年アンケートやインタビューを実施し(6640世帯配布、1870件回収)、文献調査や因子分析で解析を行った。その結果、地域景観の形成は蓋然的要素(マテリアル あるいはスピリチュアル)に起因するが、甲子園地域では感興・記憶・共創:の3つの要素が重要であることを確認した。 記憶:生活の回帰点・原点として機能するランドマークの地名に対する評価が非常に高い(91.6%)。枝川廃川と申川との分岐点の三角州の一部が甲子園と命名され聖地となった。六十干支筆頭の象形文字、甲および子に、聖域をあらわす形声文字、園を組み合わせ、地域を連想しやすい響きで、記憶性が高い。 感興:「地域に対する住民の想い」の住環境評価と「高校野球への関心度」「居住地」「年代」「メディア報道利用頻度」「景観への関心度」の関連を、因子分析、クロス集計、連関クラメール係数などで検証した。結果として住環境評価と「メディア報道の利用頻度」、「景観に対する関心度」と比較的強い正の相関が確認できた。 共創: 回収したアンケートには自由記述欄や欄外へ21種類以上の多数の書き込みがあり、詳細分析した。住環境評価への書き込みでは身体感覚と生活感に根差す言語化や、地域内での認識の葛藤、軋轢を示す一方で、生活感共有・意味生成・共創への意志の発露が見られた。地域自治会関係者にインタビューを実施し、背景を探った。 まとめると、ある地域の景観とは、その地域の持つ特性の総和といえる。地域とは、住民の身体の延長であると同時に身体を包摂する空間である。地域とは地点・地域が命名されることにより初めて特定できる。記憶された地点にはイメージ・物語・エピソードが共創され付与される。甲子園地域景観の大きな特徴は野球聖地の物語の共創にある。
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Remarks |
第33回シンポジウムの編集録画を研究所HPに限定公開する。
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Research Products
(7 results)