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2019 Fiscal Year Research-status Report

母親の国際労働移動を経験した子ども世代の仕事観と家族観、世代間ケアに関する研究

Research Project

Project/Area Number 19K12618
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

松前 もゆる  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90549619)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords国際労働移動 / ジェンダー / ケア / 仕事観 / 家族観 / 世代間関係 / EU / ブルガリア
Outline of Annual Research Achievements

本年度は研究の初年度として、社会主義体制の崩壊やEUの東欧への拡大をきっかけに増加した西欧で家事・介護労働者として働くブルガリア出身の女性たち、つまりは母親世代の仕事観と家族観に関し、研究代表者がこれまでに実施してきた調査を再検討し今後の調査の方向性を明確にするとともに、現地へ赴き、親子関係および近年の仕事や世代間ケアをめぐる実践について、母親世代と子ども世代への聞きとり調査を開始した。
本年度はまず、7月に、「EUの循環移民政策と移住労働者の国籍変更戦略」をテーマとして研究を進める科研の研究会(研究代表者:中力えり和光大学教授)に招かれ、イタリアで働くブルガリア出身者たちの社会的背景と現状について報告した。自身のこれまでの研究を検討しなおす機会となり、同時に、モルドヴァからの移住労働の実態についてうかがい、意見交換をおこなうことができた。
次に、8月6日から9月2日までブルガリアを訪問し、国際労働移動をテーマに研究を続ける現地研究者との意見交換、文献調査に加え、研究代表者の従来からの調査地である中北部、およびイタリアへの出稼ぎ労働者を多く輩出する北西部で、インタビュー調査をおこなった。とくに北西部では、労働移動とジェンダー規範との関わりについて新たな知見を得ることができ、地域社会の文脈をふまえて考察する必要性を再認識することができた。帰国後は、この調査内容もふまえ、東欧史研究会シンポジウム「越境する人々の東欧史 ―ポスト社会主義をふりかえる」で報告をおこなった。
その後、2020年3月にはイタリアを訪問し、当地で働くブルガリア出身の女性や若者たちから話を聞く予定で準備を進めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から渡航が困難となり、インタビュー調査の見通しも立たなくなってしまったため、中止の判断をせざるを得なかった。次年度以降に代替調査を実施したいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究代表者がこれまでに実施してきたブルガリア出身女性たちへの聞きとり調査の再検討から、2000年代に出稼ぎを選択した母親世代の仕事観とジェンダー規範の関わりについては既に分析が進んでいる。ただし、2020年3月に人びとの移動先であるイタリアで、当地で働くブルガリア出身の女性や若者たちにインタビュー調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりイタリアへの渡航および現地調査が困難となり中止にせざるを得なかった。そのため、出稼ぎの選択から10余年が経過し、女性たちの子ども世代が仕事や家庭を持つようになるなかでの親子関係の変化や世代間ケアの実情に関する調査、さらに、子ども世代への仕事観・家庭観に関する聞きとり調査に予定より遅れが生じている。今後代替調査を実施し、計画にそって研究を推進したいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2019年度にイタリアでの現地調査が実施できなかったため、2020年度にはイタリアでのインタビュー調査およびブルガリアでの再調査を実施したいと考えている。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響による渡航制限等が解除されることが前提であり、現地訪問が困難な場合には、とくに既にコンタクトがとれている人たちにはメールやオンライン・ツールを用いての聞きとり等も検討する予定である。
また、今後はとくに、EU内の移動労働、とりわけEUが東欧へ拡大する2000年代以降から今日にいたる移動労働の継続と変化に関する文献や資料収集に力を入れて、まずは文献調査から進めることとし、現地調査に万全の態勢でのぞめるよう準備を整えておく。
そして、こうした調査から得られた成果をオンライン学会(例えば、2020年7月に予定されているヨーロッパ社会人類学会)等で報告し、関心を共有するヨーロッパ各国の研究者から助言を得ることでさらに研究を深めたいと考えている。

Causes of Carryover

2020年3月に予定していたイタリアでの現地調査が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実施できなくなった。そのため、旅費等の支出がなくなり、次年度使用額が生じた。2020年度にあらためてイタリアでの現地調査を実施したいと考えているが、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き、各種渡航制限が解除されることが前提となる。各地の最新情報を収集・検討したうえで判断したい。

Remarks

・研究会報告
タイトル:「ブルガリア農村からの国際労働移動と生活戦略に関する試論/論点整理- ジェンダーおよび世代の視点から -」
研究会名:科学研究費・基盤研究(C)「EUの循環移民政策と移住労働者の国籍変更戦略」(研究代表者:中力えり和光大学教授)研究会

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 「ブルガリアの地方から見たポスト社会主義―移動する/しない、ジェンダー、仕事―」2019

    • Author(s)
      松前もゆる
    • Organizer
      東欧史研究会2019年度シンポジウム「越境する人々の東欧史 ―ポスト社会主義をふりかえる」
  • [Presentation] “What I have learned from doing fieldwork in Bulgarian rural areas.”2019

    • Author(s)
      MATSUMAE Moyuru
    • Organizer
      International Conference "Japan and the European Southeast over a Hundred Years of Political, Economic, Cultural and Academic Interactions"
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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