2021 Fiscal Year Research-status Report
大学ファッション教育におけるデザイン教育に関する歴史的研究-今日的課題に向けて
Project/Area Number |
19K12687
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Research Institution | Sugino Fashion College |
Principal Investigator |
鈴木 桜子 杉野服飾大学, 服飾学部, 准教授 (30459234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デザイン教育 / 被服教育 / ファッション教育 / デザイン理論 / 家政学 / 洋裁教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本の大学ファッション教育における創作的衣服製作にかかわるデザイン教育について歴史的にその取り組みを明らかにするものである。その内容は、①衣服デザインの理論がどのように捉えられてきたか、②理論教育と技術教育の統合性の問題、③教育制度におけるファッション教育とデザイン教育の関係と位置付け、以上3点を歴史的に捉えていく事である。 当該年度では、上記②について、被服領域での教育研究誌(1927~1991)を資料として、意匠・デザインに関する理論教育と裁縫・洋裁に関わる技術教育に関する記事を調査した。この調査により、双方の記事件数とその内容の動向が明らかとなり、理論教育と技術教育における各々の課題と双方の関係性についての議論が時代によって活発に行われていたことが明らかになった。これについては資料報告として「教育研究誌にみる被服デザイン関連記事」にまとめている(「杉野服飾大学・杉野服飾大学短期大学部紀要第20号」2022年3月発行)。また上記③について、戦後相次いで創設された女子大学家政学部等での意匠・デザインに関連する学科目が、文部省大学学術局による家政学教育基準(1953)と各大学の前身にあたる専門学校の教育目的の違いによってその設定に差が表れたことが明らかとなった。これについては「被服教育におけるデザイン教育への視座-新制女子大学設立時を中心に-」として学会において口頭研究発表を行なった(服飾文化学会第22回大会)。上記①については被服領域での教育図書を資料に調査分析が進んでおり、論文投稿等により研究成果を示す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度での遅れは、2019年度末からのコロナ感染拡大が2020年度まで続き、本研究が必須とする大学や教育研究機関での実地調査が機関施設の休館・外部受入制限により予定通りに遂行できない状況が続いたこと、更に研究代表者が所属大学において新学科設立準備に携わることになり、当該年度夏以降研究を一時中断せざるを得ない状況にあるためである。 コロナ禍が続く状況で当該年度では前年度の遅れを一部取り戻し、調査研究報告として学会や研究紀要に研究成果として発表することができたが、補助事業期間の最終年度にあたる本年度で本研究全体をまとめるまでには至っていない。 以上の状況を理由に本研究遂行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度が補助事業期間の最終年度にあたり、その進捗状況から期間を延長することとした。これは主にこれまでの研究調査をまとめていく期間に充てるものであり、そのための資料調査や実地調査も遂行しながら、研究成果報告として実績を残していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2019年度末~2020年度にかけてコロナ禍で未遂行にあった大学・教育研究機関等での実地調査が2021年度でも一部残ったためである。その理由は研究代表者が所属大学での学科新設準備に携わることになり、2021年夏から年度末にかけて一時研究を中断せざるを得ない状況になり、その間の支出がなかったためである。 次年度使用額は、本研究の補助事業期間を1年延長することで最終年度での使用額とし、当該年度未遂行の調査研究を行い、研究成果を発表する費用として使用する。
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