2021 Fiscal Year Research-status Report
サル、ウマ、展示動物を対象とした「出会い」と「別れ」に関する行動研究
Project/Area Number |
19K12731
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中道 正之 大阪大学, 人間科学研究科, 名誉教授 (60183886)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 彩加 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (40726832)
山田 一憲 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (80506999)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 別れ / 出会い / ニホンザル / クロサイ / ウマ / 動物園 / オスザルによる世話行動 / 授乳行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度においても、コロナ禍のために、予定していた牧場で暮らすウマの離乳時の行動観察は、一部しかできなかった。しかし、仔ウマの離乳時期が生後5カ月頃と6カ月頃では、子から離れた直後の母ウマのイナナキ回数や便の様態が異なり、母ウマにとっては子の離乳が1カ月遅くなることによって心理的反応などが減弱する傾向がうかがえた。 動物園で誕生したホッキョクグマの授乳時に子クマが発する音声を、動物園での映像記録をもとに分析した。発達に伴い音声の頻度、持続時間が短くなり、これらは、授乳頻度を反映したものと推測できる。発達初期の子クマは産室で暮らしていたため、音声以外の観察はできなかったが、放飼場で昼間の時間を母クマと過ごすようになってからは、母子間の関わりなどの行動データの収集に努めた。 動物園で暮らすクロサイの授乳行動を分析し、論文としてまとめて、投稿し、現在審査中である。クロサイは追従型の子育てをすることが知られているが、本研究から他の追従型の有蹄類と比べて、クロサイの母がより寛大な子育てをすることを明らかにした。さらに、家族集団で暮らすクロサイの近接関係のデータを分析し、母と一番下の子がいつも近接している追従型の子育てを確認し、年長のワカモノ期の子も母と比較的近接を維持すること、他方、父は母や子との近接が最も少ないことを定量的に確認し、現在、投稿準備中である。 ニホンザル集団において、第1位オスが死亡した時、第2位オスが第1位オスになった直後の集団メンバーとの関わり、さらに、母ザルが生後2,3カ月までの子ザルを一時的に半日以上離れた場合の行動や持ち運んでいた死亡した子ザルを失くした時の行動を分析した。その結果、母ザルは半日以上は、音声などを出して、探す行動をすることが明らかになった。また、オスザルの子ザルへの世話行動も分析し、論文として発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために、牧場で暮らすウマの離乳時の行動観察が予定通りにはできなかった。他方、ホッキョククマについては、行動観察や音声分析により、新たな成果を得ることができ、順次発表の予定である。さらに、クロサイとニホンザルについては、これまでに得ている観察データをもとに、分析し、論文発表を順次行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であったが、令和4年度に繰り越しをして、十分にできなかったウマの離乳時期の行動観察を実施する。さらに、クロサイ、ニホンザルについては、データ整理を進め、順次、論文を執筆し、投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
最終年度の令和3年度に予定していた牧場のウマ母子の行動研究が、コロナ禍のために、予定通りできなかった。そのため繰越金が生じたので、その金額を用いてウマの母子を対象とした行動研究を行う。そのための出張旅費として、繰越金を主に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)