2021 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈の心筋血流予備量比と壁応力を測定できる超高速血管内光干渉断層法の開発
Project/Area Number |
19K12846
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
久保 隆史 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30316096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光干渉断層法 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内光干渉断層法(Optical Coherence Tomography: OCT) の冠動脈画像データから算出した生理学的指標である心筋血流予備量比(Fractional flow reserve: FFR)と病理組織学的特徴とを対比した。病理組織学的特徴として、大きな脂質性壊死性コアと65μm未満の薄い線維性被膜を有するThin-cap fibroatheroma(TCFA)、脂質性プラーク体積、線維性プラーク体積、および石灰化プラーク体積を算出した。OCTから算出したFFRは、プレッシャーワイヤーから得られたFFRと良好に相関し、心筋虚血のカットオフ値であるFFR<0.80と、急性心筋梗塞発症リスクを予測するためのカットオフ値であるFFR<0.64を正確に検出できることを明らかにできた。さらに、大きな脂質性壊死性コアと65μm未満の薄い線維性被膜を有するTCFAの存在は、OCT-FFRの計測精度に影響をおよぼさないことを明らかにできた。一方で、脂質性プラーク体積はOCT-FFRを過小評価させる要因でああることが判明した。線維性プラーク体積、および石灰化プラーク体積はともにOCT-FFRの精度に影響を及ぼさなかった。以上のことから、OCTの画像データを基に生理学的指標であるOCT-FFRを算出することは、大きな脂質性壊死性コアと65μm未満の薄い線維性被膜を有するTCFAの検出と組み合わせることによって、急性心筋梗塞の発症リスクの高い冠動脈病変および症例の検出および予測精度を向上させることができる可能性を示すことができた。また、脂質に富んだ血管で発生するOCT-FFRの過小評価を補正する必要があるという臨床使用における課題も明らかにできた。
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