2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K12986
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
越懸澤 麻衣 昭和音楽大学, 大学院音楽研究科, 講師 (10755375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 楽譜 / 洋楽受容 / ベートーヴェン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、昨年度に引き続き、ベートーヴェンの楽譜に焦点を当て日本における出版状況を調査した(於:東京藝術大学附属図書館、和歌山県立図書館、等)。音楽雑誌や新聞記事で「ベートーヴェン」がどのように描写されているのかについても調査し、それらと楽譜出版との関係を考察した。とりわけ、1924年に《交響曲第9番》のレコードが2種発売・輸入され、また同年に東京音楽学校で全楽章が日本人によって初めて上演されたことは、音楽雑誌ばかりでなく新聞記事でも大きな話題となっていたことが明らかとなった。 新聞記事におけるベートーヴェンへの言及については、日本語で論文にまとめ、2022年3月に刊行された。日本のベートーヴェン受容について楽譜出版にも触れながら執筆した英語の論文は、編集者に提出済みで、現在出版準備中である。日本でベートーヴェンが人気の作曲家である、ということは世界的にもよく知られるようになってきているが、楽譜の出版状況も含めたその詳細については、欧文で紹介されている例は非常に少なく、意義のあることであろう。 また、日本人作曲家と楽譜出版社との関係について、山田耕筰と関屋敏子を中心に調査を始めた。現存する関連資料があまり多くないこともあり、まだ十分には研究を進められていないが、どのようなプロセスを経て楽譜が出版されるに至ったかは、その時代の音楽文化を考える上で重要な要素の一つである。今後も引き続き取り組んでいきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、夏休みに計画していた海外の図書館での調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人作曲家の作品がどのように出版されたのか、引き続き調査する。 これまでの研究成果を単行本にまとめ、出版する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外渡航が叶わなかったため、旅費の支出が大幅に少なくなったため。今年度は海外での調査が可能となる見込みであり、長期で滞在し、研究を進めたい。
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