2022 Fiscal Year Research-status Report
「話す」のに必要な項目はなにか?ー会話分析を用いた初級学習項目の見直しー
Project/Area Number |
19K13249
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 真理 関西学院大学, 日本語教育センター, 准教授 (00743212)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 日本語初級文法 / 質問発話 / 発話末「かね」 / 知らない / わからない |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は以下2つのことに取り組んだ。1)は初級学習項目を見直す中で検討課題となった言語形式に注目したものである。2)は初級学習項目に含まれているものの、適切な使用がなされていない場合がある言語表現の用いられ方である。詳細は以下の通りである。 1)初級学習項目を見直す中で検討課題となった質問発話に焦点をあてた。具体的には質問発話の発話末に生じる「かね」に注目した。データはまずは質問発話であることが明確なインタビュー場面から観察、データコレクション作成を開始し、分析を行なった。続けて日常会話についてもデータコレクションを作成、分析した。データは主にインタビュー会話(筆者収録データおよびCSJ(日本語会話コーパス、国立国語研究所))、日常会話コーパス(国立国語研究所)を用いた。データ分析の過程では、複数の研究会等のデータセッションにデータ提供をし、参加者よりコメントを得た。分析の結果、「かね」を用いることで、質問者と応答者の間の知識の勾配を緩める働きをしている可能性があることが示唆された。研究成果は会話分析研究発表会(京都)および、国立国語研究所シンポジウム(オンライン)のポスターセッションで発表を行なった。現在、論文化に向けて準備中である。
2)初級の学習語彙である「知っている」「わかる」の否定形、「知らない」「わからない」の会話における用いられ方に焦点をあてた。特に質問に対する応答として用いられる位置に注目してデータコレクションを作成した。しかし、収集できた事例が少なく、詳細な分析にまでは至っていない。データセッションでの共有等を通して、類似の分析や関連研究の情報を得ることができたため、引き続きデータコレクション作成を継続する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
特に研究成果の発表や論文化に遅れが生じている。理由は、データ分析のために必須のデータセッションへの参加が2021年度までほとんできなかったためである。2020年度に行う予定だったデータセッション等への参加は2022年度に行うことができ、分析を進めた。しかし、当初予定には追いついていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
初級学習項目の見直しにおいて予定していた「言語形式に注目した項目」については、現在まとめつつある現象の論文化を行うこと、コレクション作成途中となっているものについて2023年度中に研究成果を学会発表もしくは論文として発表する。 一方、もう一つの予定していた項目の誘い、依頼、指示といった「行為に注目した項目」については、十分に取り組めていない。最終年度となる2023年度、コレクションは完了し、今後取り組むべき課題を整理したい。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた出張(国内外)が実施できなかったため。2023年度は主に国内外でのデータセッションへの参加、学会等での研究成果の発表に伴う出張旅費として使用する。
|
Research Products
(2 results)